※写真はイメージです/

日本人の給与が上がらないことが問題視されています。しかし、一級建築士である飯村真樹氏は、収入だけでなく「支出」に着目し、「長持ちする家」を建てることで住居費を抑え、可処分所得を増やすことにつながると指摘します。飯村氏が著書『100年使える住宅で暮らす 後悔しないための資産を守る家作りの方法』(WAVE出版)より、日本と同じく経済が停滞するイタリアとの比較等にも触れながら解説します。

イタリアと日本の違い

実は日本とよく似ている国がヨーロッパにあります。イタリアです。イタリアの何が日本と似ているかというと、イタリアの経済状況が日本に似ているのです。[図表2]のグラフを見てもらうと、成長の形が似ているのがおわかりになると思います。

 

[図表2]日本とイタリアのGDPの推移

 

イタリアは日本と同じように、この20年あまりまったく経済成長していません。そのため国民の収入もほとんど上がらなくなってしまいました。ところが、可処分所得を比べると日本よりも多いのです。つまり、それだけ豊かに暮らしていることになります。

 

イタリアは観光立国であるとともに工業国でもあります。失業率は日本よりもかなり高いですが、国民全体としては豊かに暮らしています。これには、住宅の寿命に関係があるのではないでしょうか?

 

イタリア単独での住宅の寿命の統計は見あたりませんが、欧州全体では平均して200年程度です。

 

つまり、イタリアでは住宅を建築して200年はメンテナンスしながら住みつづけているのです。一方、日本は、所得が上がらないのに、住宅ローンを一世代で支払うライフスタイルを続けています。団塊世代のように、景気が良くて子どもが多いときは、子育て世帯が新しい家を建てればよいとは思うのですが、今の日本ではほとんどが一人っ子です。

 

一人っ子が多いということは、一人っ子同士が結婚するとご夫婦どちらかの実家が1つ余ることになります。もちろん、さまざまなパターンがありますから一概に決めつけられませんが、引き継いだ実家が、ご夫婦が子育てを終えるまで、小規模なリフォームで住みつづけることができれば、それだけ自由に使えるお金が増えます。

 

その結果として、住宅費用が安くなって、しっかり蓄財できるのではないでしょうか。 このスタイルなら政府が提唱する副業などしなくてもいいのです。実家の1つが空き家になれば貸すことができるかもしれません。さらに家賃収入が入ってくればどんなに豊かなライフスタイルを実現できるか考えてみて下さい。

 

ヨーロッパやアメリカでは、住宅のリセールバリュー(再販価値)もしっかりあるので、これが民間に富をもたらします。建物の寿命が長いということは、最終的にその家族が長い間豊かに暮らしていけることを意味するのです。その点、日本の住宅の寿命は30年程度です。30年程度で建て替える国と、200年もたせる国ではどちらが住居費用が安くなるかはわかるでしょう。

 

[図表3]日本とイタリアの比較

 

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100年使える住宅で暮らす 後悔しないための資産を守る家作りの方法

100年使える住宅で暮らす 後悔しないための資産を守る家作りの方法

飯村 真樹

WAVE出版

一戸建て注文住宅でなるべく質の高い家、長持ちする家を持ちたいと考えている20代、30代、40代の男女に、100年住むがことができ、トータルコストも安くなる性能の高い家の作り方を提案する。 長寿命住宅なら、結果的に自由に…

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