(※画像はイメージです/PIXTA)

育児休業法が1991年5月に成立してからちょうど32年が経過しました。折しも少子化の進行に歯止めがかからず、現政権は「異次元の少子化対策」を掲げています。そんななか、2022年4月から育児休業法の大規模な改正が段階的に施行されており、2023年4月からは、従業員1,000人超の企業について育児休業取得状況の公表が義務化されています。本記事では、育児休業制度の概要および課題について解説します。

近時(2022年4月~2023年4月)の育児休業法の「改正法」の内容

育児休業制度については最近、大法改正があったばかりです。以下のように、2022年4月以降、段階的に施行されています(厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」参照)。

 

【2022年4月施行】

1. 雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

2. 非正規雇用の労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

 

【2022年10月施行】

3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

4. 育児休業の分割取得が可能に

5. 「1歳以降」に育児休業を再取得する場合の開始日の柔軟化

 

【2023年4月施行】

6. 育児休業取得状況の公表の義務化(従業員1,000人超の企業のみ)

 

2022年4月施行の改正法の内容

◆1. 雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

労働者が育児休業を取得しやすくするために、雇用主は以下のいずれかの措置を講じなければならないこととなりました。

 

【雇用者が講じるべき措置(いずれか)】

・研修の実施

・相談窓口の設置

・自社における育児休業・産後パパ育休の取得事例の収集・提供

・育児休業・産後パパ育休の制度があることと、取得促進に関する方針の周知

 

雇用主は、労働者が本人または配偶者が妊娠・出産したと申し出てきた場合、以下の事項をすべて知らせて、休業を取得する意思があるかどうかを確認しなければなりません。

 

1.育児休業・産後パパ育休(後述)に関する制度内容

2.育児休業・産後パパ育休を申し出る窓口

3.育児休業給付に関すること

4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

 

また、休業の取得を控えるよう誘導してはなりません。

 

◆2. 非正規雇用の労働者の育児休業取得要件の緩和

非正規雇用の労働者(派遣、パート、アルバイト)の育児休業取得について、以前は「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件がありました。

 

しかし、この条件が原則として撤廃されました。

 

子が1歳6ヵ月になるまでの間に「契約が満了することが明らか」である場合を除き、育児休業を取得できるようになったのです。

2022年10月施行の改正法の内容

◆3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月より施行)

産後パパ育休は、父親が、子の出生後8週間以内に取得できる休暇です。

これは、父親が、出産直後の母親と子を身近で支えることができるようにするための制度です。

合計4週間まで取得できます。1回で全部取得することも、分割して2回まで取得することも可能です。

もちろん、育児休業給付金(出生時育児休業給付金)も受給できます。

 

◆4. 育児休業の分割取得が可能に

育児休業を2回まで分割取得できることになりました。

 

これによって、たとえば、父親が1回目の育児休業を取得し、そのあとで、母親が職場復帰するタイミングで2回目の育児休業を取得することができます。

 

◆5. 「1歳以降」に育児休業を再取得する場合の開始日の柔軟化

育児休業には「再取得」の制度があります。子が1歳になった後で、保育所に空きがない場合に認められるものです。

 

以前は、「再取得」の開始日は「1歳」「1歳半」のいずれかの時点に限られていました。しかし、開始日が柔軟化されました。また、2回に分けて取得することもできます。

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