(※画像はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」といわれるいま、65歳で定年退職を迎えても35年と、長い老後が訪れます。近年は退職後も再雇用で働く選択をする方が増えているものの、長い老後を豊かに暮らすため「本当に必要な金額」はいくらなのでしょうか、FP Office株式会社の根本寛朗氏が解説します。

5,000万円貯めるなら…おすすめは「資産運用」

ある程度老後に必要な金額がわかったところで、5,000万円貯めようとしたとき、具体的にどうしたら良いのだろうか。

 

仮に普通預金(年0.001%)に毎月コツコツ貯めていくとすると、30年積み立てられる場合、毎月138,868円の積立が必要である。20年を目標にすると毎月208,313円、10年では毎月416,646円。現実的な数字とはいえない。

 

自分自身で将来の貯蓄を増やすには、「収入を増やす」「支出を減らす」「お金にも働いてもらう」という3つの方法しかない。

 

転職して収入を増やしたり、家計を切り詰めて支出を減らしたりすることもひとつの選択肢だが、筆者は「資産運用」を行うことによってお金に働いてもらうことが何より大事だと考える。資産運用をする方としなかった方では、将来の資産に大きな差が出るはずだ。

 

資産運用をする際にはいくつかポイントがあるが、1番は「長期投資」に注目したい。

 

出所:筆者作成
[図表5]外国株式と米国S&P500の保有期間別リターン 出所:筆者作成

 

[図表5]を見ていただきたい。外国株式と米国S&P500の保有期間別の平均リターンであるが、保有期間が長くなるにつれてリスク(リターンの幅)が小さくなっていることがわかる。

 

いま20~30代であれば、こうした外国株式を中心に資産形成を行うことをおすすめする。このデータは過去の結果に過ぎず、将来約束されたものではないが、仮に年6.0%で運用できたとすると、30年間積立期間があれば月49,775円の積立で5,000万円に到達する計算だ(20年で到達するには、月108,216円の積立が必要)。

 

また、投資初心者には投資信託(ファンド)での資産運用をおすすめしたい。投資信託自体が分散投資できているため、始めやすいのではないだろうか。

 

ただ、いざ始めた資産運用も続けなければ意味がない。市場は上下を繰り返しながら上昇していく。大きく資産が目減りしてしまうと、やめてしまう方も少なくない。

 

2020年末時点では、全ファンドの平均保有期間は2.5年である。DC(確定拠出年金)専用ファンドは平均保有期間が4.4年に対し、つみたてNISA(少額投資非課税制度)対象ファンド全体の保有期間は2.1年と短期化傾向にある。将来に向けて途中売却を我慢し、ぜひ運用を続けていただきたい。

 

また、ある程度資金が準備できていても、病気や介護などのリスクに対する資金が不足している場合は、生命保険や医療保険でカバーするのもひとつの手だ。

 

おわりに

ここまで、老後資金について見てきたが、準備しなければいけない金額は人それぞれ異なる。まずはしっかりとライフプランを立て、将来に向けた資金シミュレーションを行うことが重要だ。なお、シミュレーションした内容はライフステージの変化に合わせ定期的に点検をし、修正していくことをおすすめする。

 

老後に向けた資金準備は若いうちから行うに越したことはない。理想の老後に向け、早いうちからの準備が大切である。

 

【参照】

※1 厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」

※2 厚生労働省「令和2(2020)年度国民医療費の概況」

※3 公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」

 

 

根本 寛朗

FP Office株式会社

ファイナンシャル・プランナー

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。