初回の講義で「医学部には入れるのは半分もいないぞ!」…大手予備校の教育スタイルでは「厳しすぎる」子も。合否を分ける「大手予備校か、医学部専門予備校か」の選択

初回の講義で「医学部には入れるのは半分もいないぞ!」…大手予備校の教育スタイルでは「厳しすぎる」子も。合否を分ける「大手予備校か、医学部専門予備校か」の選択
(※写真はイメージです/PIXTA)

大手予備校の医学部進学コースへ行くべきか、それとも医学部専門予備校へ行くべきか…。医学部受験の合格を左右する「予備校選び」について、医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏が解説します。

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    「夜遅くまで使える自習室」には要注意

    ただ、ここで一つ気をつけておきたい点として、自習室を夜遅くまで開けている専門予備校は、生徒の勉強を支援している場に見えて、実は多浪生の巣窟になっていることがあります。浪人生は、勉強時間を自分のペースで確保した結果、段々と夜型の生活になってしまい午前中ほとんど寝ている…というリズムに陥りがちだからです。

     

    これが良くない傾向であることは、言うまでもありませんよね。受験で結果を出すために勉強しているのですから、「夜が一番調子いい」では意味がありません。

     

    受験当日は、長い事前説明を経て、9時または10時頃に始まるのが一般的です。このタイミングで頭脳がフル回転する習慣になっていないと、つまらないミスで不合格になってしまうリスクが高まります。

     

    “競争率数十倍”が当たり前の医学部受験において、ボーダーライン上では1点の中に30人以上が並ぶこともありますから、1点差は致命的です。だからこそ、万全の体制で臨むためには、日頃の生活習慣から修正していく必要があります。

     

    つまり、試験開始の3~4時間前、5~6時には起床して活動を開始する習慣を定着させていくことは勝利の条件の1つといえるのです。

     

    勉強の仕方に自信が持てなかったり、生活リズムが乱れがちだったりと、つい勉強以外のことに気を取られがちなタイプの受験生は、講師の目が届く規模の予備校を選んだほうが結果につながりやすいかもしれません。

    「親へのサポートやアドバイスがあるかどうか」も大切

    そして、ここでもう一つ。予備校を選ぶうえにおいて、「大手」であれ「専門予備校」であれ、上記に加えて特に大切なことがあります。それはコロナ禍での受験生を子にもつ、親御さんへのサポートやアドバイスがあるか否かです。これはかなり大切です。 

     

    今から1年前、国立成育医療研究センターが2022年3月23日に公表した「コロナ×こどもアンケート第7回調査報告書」では、「小学4-6年生の10%、中学生の22%、高校生の23%に、中等度以上のうつ症状があった。」と報告されています。

     

    『この7日間、次のような問題にどのくらい頻繁(ひんぱん)に悩まされていますか? それぞれの症状に対し、あなたの気持ちにもっとも近いものを選んでください。』 という設問の中の一つに、「自分はダメな人間または失敗者だと感じる、または自分自身あるいは家族をがっかりさせていると思う。」という問いに、実に回答者の高校生の53%が「半分以上、数日、ほとんど毎日」と答えています。また小学4~6年生では29%、中高生では50%が、自分が鬱(うつ)になっても「誰にも相談しないでもう少し自分で様子をみる」と回答しています。

     

    あれから1年が経ち、ほとんどの入試の結果が出揃いつつある現状において、合格して一抜けできた受験生であれば、新しいスタートにほっと胸をなでおろしているでしょう。しかしそうではなかった場合、自分の失敗を責め、決めなくてはいけないこともなかなか決断を下せず、これまでできていた毎日の勉強がとても辛く感じるようになってきます。いつも体がだるく、疲れていて、夜にしっかり眠ることができなくなってくる受験生もいることでしょう。私は現場で教えていて、入試という勝負に挑む前に、諦めが早く、またちょっとしたことで心が折れてしまう受験生が、このコロナ禍で随分と増えたと感じています。
     

    さらに、コロナ禍初期の頃の学習がレポートだったり、教師も不慣れなオンラインで実施されたりなどして、積み上げが大切な時期にもかかわらず十分に理解できないまま次の過程へと進んでしまい、基礎学力が穴だらけになってしまった受験生が多くいるように感じています。

     

    筆者は仕事柄、関東の医学部について、入学試験期間中は朝からほとんどすべての試験会場に出向きます。これは私の勝手な主観ですが、コロナ以前の試験会場の雰囲気と比較して「ずいぶんと元気がないな」と感じました。ひと言で表すと、今年度も「どんよりと前を向いて会場に向かう」という感じです。 

     

    このような状況で受験生を持つ親御さんは、わが子とどのように接し、どのように声をかけてあげたらよいのか非常に困惑しています。 

     

    私立医学部では3月31日時点でも補欠の繰り上げが行われます。補欠繰り上げが来るか来ないかわからない状態で、その時期まで「合否を待つ」というのは、かなり精神的にキツいものです。ネガティブなイメージだけが、頭の中をグルグルと駆け巡ります。 

     

    「医学部落ちた。どうしよう、もう頑張れる自信がない」というわが子に対し、「頑張ってみたら」と背中を押すことが果たして良いことなのかどうか、わからなくなっている親御さんも多いです。 

     

    受験生の学習面・精神面でのサポートはもちろんですが、これからは親御さんがお子さんに良い声掛けができるよう、予備校もサポートをしていく必要があります。親御さんともしっかりと連絡を取り合い、お子さんの学習面から修学資金の調達方法まで、豊富な情報を持ち、かつ受験生本人と親御さんに親身になってアドバイスができるような予備校を選択することが大切です。 

     

    「大手だから安心」「小規模だから大したことはない」といったイメージで予備校を選ぶのは禁物です。特徴を見極めて、自分に合った予備校を選択しましょう。

     

     

    亀井 孝祥

    医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師

     

    愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

     

    本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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