「業務スーパー」が「食品ロス1%」「原価率50%」を実現できた理由とは

「業務スーパー」が「食品ロス1%」「原価率50%」を実現できた理由とは
(※写真はイメージです/PIXTA)

「業務スーパー」は、どこも真似できない商品のラインナップと驚くほどの低価格で注目を浴びており、物価高が深刻化するなか、小売業界における存在感をますます大きくしてきています。いったいどのような経営が行われているのでしょうか? 本連載では小売り・流通関係に精通しているジャーナリストの加藤鉱氏が、著書『非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ』から、業務スーパーの型破りな経営戦略について解説します。

調理の時短ができるというメリット

花房課長が回顧のまなざしでこう語った。

 

「これから時代はどう変わっていくのか。 創業者は先を見据えて考える人物でした。少子高齢化が進んでいき、共稼ぎ家庭が増加、家庭で料理をする人が減ってきたときに、われわれはどう生き残るのかと。

 

創業者ご自身が食品スーパー『フレッシュ石守』を経営されていたので、昔のように台所に長い時間立って、手間をかけて、家庭料理を出す家が減少するのは必至と肌で感じていたはずです。料理人の経験から何が手間かはわかっていたし、フレッシュ石守の商売のなかで生鮮品の扱いについても、ロスが出るから大変だということも理解されていた。

 

したがって、そうしたものを省いていく。商品構成もロスが出ないような日持ちのするもので、手間のかからない時短のものを売れば受ける。これは一般消費者もそういう方向にシフトしていくだろうし、加えて飲食店をやっていると人件費が発生する。調理時間を減らせれば、店のコストも減らせますよね。

 

創業者はそうした目線で商品開発をしてきたし、業務スーパーというオペレーション自体も、自分が食品スーパーをやっていた経験から、何を省けばより簡単に埋め合わせができるのか。おそらくそうした課題を汲み上げて、さまざまな商品を作っていかれた」

 

時短商品で他社との差別化を図る。しかもボリュームがあって、なおかつ価格が安ければ確実に売れる。創業者の読みは見事に的中した。

 

業務スーパーほど調理の時短ができる商品が揃っている店は見当たらない。業務スーパーは忙しい主婦には欠かせないインフラとなっている。

 

 

加藤 鉱

作家・ジャーナリスト

 

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

加藤 鉱

ビジネス社

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