(※写真はイメージです/PIXTA)

アップルやホンダなど、成功した企業に「社長の右腕」が存在する実例は多いですが、それが時にアダとなることも少なくありません。なぜなのでしょうか? 『三国志』の呉のリーダー孫権の話とともに解説します。

 

組織の構造改革

その後、どうやって孫権は呉を治めていったのか、ここに皆さんにも役に立つヒントが隠されています。孫権は統治の構造をつくり直していったわけです。つまり、周瑜が「社長の右腕」としてすべてを握っている状態ではうまくいかないことがわかってきて、組織の構造を変えていくのです。

 

[図表]右腕に依存したと組織から脱却する

 

右腕を3人にした

周瑜は軍を掌握するポジションに就けたままなのですけれども、新たに2人の重臣を自分の味方として置くわけです。そのうちの1人が、父親の代から呉に仕えていた張尚という人です。この人は武将というよりも、どちらかというと管理業務、会社で言うと総務のような職務を担っていて、この人を内政のトップに据えることにします。

 

こうして、周瑜と張尚というツートップ体制することによって、周瑜が全てを思いのままにすることができなくなりました。さらにもう1人、魯粛(ろしゅく)という人を重用することになります。魯粛は軍事のことも内政のこともある程度分かっている人物で、社長の補佐役のようなポジションに就くわけです。周瑜・張尚・魯粛というスリートップ体制にしたことで、孫権はようやく王としての威厳や影響力を持つことができるようになって、呉という国もまとまり始めました。

 

ツートップ、スリートップ体制で組織を安定させる

この『三国志』のエピソードから得られる教訓としては、このように「社長の右腕」に全てを掌握させるような組織づくりは絶対にやってはいけないということです。そうすると、必ず先ほど申しあげたような対立や放任が起こりますので、非常に危険な体制になってしまいます。

 

そうではなく、できれば3人、少なくとも2人を自分の下に置き、そのうえで誰かもう1人、魯粛みたいな人を入れるというのが、安定した経営を目指すためには非常に大事になるのです。多くの経営者は「社長の右腕」を育てようとして、自分と気が合う人や能力の高い人、自分の言うことを聞いてくれそうな人を探してしまいます。しかし、それではコントロールできません。

 

もちろん人を見極めることは大事なのですけれども、自分が会社をコントロールできるようにするためには、その仕組みを自分でつくり上げなくてはいけません。

社長の右腕に依存させるのでなく、仕組みに依存させる

話をまとめますと、

 

社長の右腕はいたほうが楽だが、危険もある。最たる危険は、経営が右腕に依存し、彼の存在無くして会社が回らなくなってしまうこと。そうならないために、右腕に依存にしない組織と仕組みを創る。

 

となります。「社長の右腕」に依存してしまうのではなく、自分がコントロールできる範囲で安定した構造をつくり、そこに人を当てはめていくという発想で、「社長の右腕」が存在する経営の仕組みをつくっていくことを目指しましょう。

 

 

清水 直樹

仕組み経営株式会社 

代表取締役

 

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