スパイに学べ…ビジネスにおいて「諜報スキル」が無視できない理由【元防衛省情報分析官が解説】

スパイに学べ…ビジネスにおいて「諜報スキル」が無視できない理由【元防衛省情報分析官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

極限状態の中、どんな困難なミッションも完遂する「諜報員」。その成功の秘密は、「成果が出る“型”」を頭の中に入れていることにあります。あらゆる仕事に応用できる、誰もが実践できる諜報員のテクニックを、上田篤盛氏の著書『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)より一部抜粋してお届けします。

 

最高峰の諜報員は何をしているの?

前述のとおり、海外で勤務する諜報員にはさまざまな役割分担がある。組織本部と諜報員の通信・連絡に従事する者(クーリエ、トランスミッター)、現地で指揮する者(オペレーター)、現地の協力者(エージェント)を募集する者(リクルーター)など、さまざまな要員で成り立っている。

 

一般的には、在外の大使館での公的身分をもって活動する者が現地オペレーターとなり、本国から新聞記者などに身分を()ってやって来る諜報員、現地でリクルートしたエージェント、本国へ秘密情報を伝える連絡員や通信員などから諜報網は構成される。

 

諜報員と一言で言っても、身分、役割、ミッションに応じて、微妙に要求される資質やスキルが異なる。だが押しなべて言えば、「時には拘束、投獄、死のリスクを抱えながら、国家のために活動する」という困難かつ名誉ある仕事に携わるのが諜報員なのである。

 

中国の軍事戦略書『孫子』では、(かん)(諜報員)を「郷間(きょうかん)」「内間(ないかん)」「反間(はんかん)」「死間(しかん)」「生間(せいかん)」の5つに区分し、それを合わせて「五間」と呼んだ。

 

実は、現代のビジネスの世界でも五間の運用が行なわれている。わかりやすい例を紹介しながら説明しよう。

 

【郷間】顧客のニーズを探るために、現場周辺にいる人、関係する取引業者、お客さんから情報を集める。

 

【内間】競合他社の従業員と仲良くなって競合他社の内部情報を得る。

 

【反間】競合他社の従業員で秘密情報を有している者を協力者とする。競合他社の営業スタッフなどと親しくなり、自社に転職を(したり、ニセ情報を流して判断を誤らせる。

 

【死間】自社を辞職して、競合他社を油断させ、競合他社から重要な機密情報を獲得したり、競合他社の判断をマヒさせる。

 

【生間】競合他社に潜り込んで、継続的に内部情報を会社に報告・通報する。競合他社と自社とを行き来し、情報を報告・通報する。

 

もちろん、このような非合法的な活動を行なうべきではないが、外国企業も含めてさまざまな競争相手がこのような手口で、重要情報を得たり、有用な人物の引き抜きを画策していることもなきにしもあらずだ。

 

ビジネスでは諜報、インテリジェンス、カウンター・インテリジェンス(防諜)の要素は無視できないのだ。だから、ビジネスパーソンは自らが諜報員にならなくても、諜報員がどんなミッションを行なうのかくらいは知っておいたほうがいい。

 

ところで、『孫子』の中で最も重視されているのが「反間」である。「反間」とは、「二重スパイ」(ダブル・エージェント)のことである。

 

二重スパイは、敵の情報組織に浸透(し、我ら側の有利な情報を収集するだけにとどまらない。我ら側の作戦などを有利にするために、ニセ情報を意図的に流すなどして、敵対勢力の判断ミスや官民を仲たがいさせることも要求される。

 

彼らは、危険な状況下で“智恵の戦い”を行なう者で、高度な情報分析力や状況判断力、勇気ある決断力と行動力、慎重な危機管理力などが求められる。まさに、最高峰の諜報員であると言える。

 

世に流通するスパイ本では「スパイ」と「工作員」を区別して列記するものも多々あるが、ダブル・エージェントは諜報と秘密工作の両面に携わる。諜報と秘密工作に明確な境界線を引くことはできないので、本書ではスパイも工作員も諜報員と呼ぶ。

 

 

上田 篤盛

株式会社ラック「ナショナルセキュリティ研究所」

シニアコンサルタント

 

本連載は、上田篤盛氏の著書『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再構成したものです。

超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル 仕事で使える5つの極秘技術

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