(※写真はイメージです/PIXTA)

タワーマンション節税について、税理士法人ブライト相続・代表社員税理士の戸﨑貴之氏がわかりやすく解説していきます。

タワーマンション節税が「否認された」事例

非常に相続税の節税効果が高いタワーマンション節税ですが、国税庁側でも明らかな節税目的の場合には否認される場合もありますので過度な場合には注意が必要です。過去にタワーマンション節税を否認された事例がありましたのでご紹介させて頂きます。

 

当時認知症であった被相続人が他界する1ヵ月前に、相続人である親族が代理人となり、約3億円のマンションを購入しました。相続が発生し、購入したマンションの相続税評価額は路線価ベースで約6,000万円と計算して相続税の申告を行いました。更に、購入した翌年において購入時とほぼ同額の約3億円で売却を行いました。

 

上記のケースでは、国税局側の主張に基づき、タワーマンションの評価額は路線価に基づく評価額ではなく、時価で行うという結論になりました。

 

理由としては、下記の2点がポイントになります。

 

 ●判断能力のない被相続人の名義を無断で使って契約したこと

 

 ●相続前後の短期間だけ所有したマンションを通達で評価するのは不公平であること

 

このように、節税目的があまりにあからさまなケースだと、国税庁に否認され、追徴課税を課されてしまうリスクもあるため、注意が必要です。

「タワマン節税」のリスク(注意すべきポイント)

相続税の節税のためだけに安易にタワーマンションを購入したとしても、国税庁の目にとまり追徴課税されるリスクがあります。過度な節税とみられないためにはどのような点を注意した方がいいのでしょうか。これまでの裁判の事例から特に注意した方がいいポイントをまとめさせていただきました。

 

1.相続直前にタワーマンションを購入しているケース

 

相続発生の数年前以内に節税効果の高い物件を購入していないかどうかや、購入した年齢においてその不動産を相続税の節税目的以外の理由で購入した合理的な理由を説明できるかが重要と考えられます。

 

2.短期間での不動産売却

 

所有期間が短ければ短いほど、物件の所有目的、例えば不動産投資目的という合理的な説明がつかず、相続税の節税目的があったといわれてしまう可能性が高まります。

 

3.購入資金

 

自己資金以外での購入の場合、例えば、銀行からの融資を行った場合、その融資理由において相続税の節税目的ということであれば明らかな相続税の節税意図があったという証拠になります。

 

タワーマンション節税が否認されたケースでは、具体的にこのような基準であれば否認されてしまうという範囲が明確に定められていませんので、総合的に判断しリスクを考えなければいけません。

次ページ結局、「タワマン節税」は現在も有効か?

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録