「一発屋企業」と「儲かり続ける企業」の決定的な差【公認会計士が解説】

「一発屋企業」と「儲かり続ける企業」の決定的な差【公認会計士が解説】

世の中には、商品やサービスが爆発的にヒットした企業であっても、倒産したり鳴かず飛ばずの状況に陥ったりする企業は少なくありません。では、単発で儲かったとしても次のヒットが生まれない「一発屋企業」と、「儲かり続ける企業」にはどのような違いがあるのでしょうか。KMS経営会計事務所の代表である公認会計士・税理士の川崎晴一郎氏が解説します。

「儲かり続ける」のは難しい

ところで、儲かっている活動単位がいつまでも儲かり続ければよいのですが、残念ながらそういうわけにはいきません。顧客ニーズの変化やライバル他社の商品・サービスの登場などによりいつかは必ず潮目が変わり、それを放っておくと儲からなくなってしまいます。

 

一世を風靡した会社であっても倒産してしまったり、現在鳴かず飛ばずの状況になっているのは潮目の変化に上手く対応できなかった(しなかった)ためです。儲かっている活動単位が儲からなくなってしまうことによるダメージは甚大です。

 

経営者は、儲かって余裕があるうちに、儲からなくなってしまうことを阻止しなければなりません。そのためには、経営者が絶えず潮目の変化を感じ続ける必要があります。

儲かっている活動単位の「潮目の変化」を見定める

潮目の変化はお客様が教えてくれるものです。本当は生の声をたくさん聞くのが1番ですが、数値的には売上高の変化で感じます。経営者は、特に、儲かっている活動単位の売上高が下降トレンドになっていないかを注意深く見るべきです。

 

経営者が着目すべき最重要の指標は営業利益だ、と本書では口酸っぱく記載してきましたが、こと顧客ニーズの動向を把握するという意味では営業利益は十分な指標になりません。

 

というのも、費用を削れば帳尻を合わせることができる、つまり社内調整が可能な部分が残るからです。

 

一方で、売上高はお客様の評価がそのまま反映される社内調整が不可能なものであり、粉飾でもしない限りごまかせません。社内で確認できる数値として、売上高こそが、扱っている商品・サービスに関するお客様評価の唯一の指標となるのです。

 

ドライないい方をすると、売上高が下がっているのは、景気のせいでも社内の努力不足の問題でもなく、お客様がその商品・サービスを「いらない」と声なき声でいっている状況であり、もしそれが恒常的に下降トレンドとなっている場合は、その商品・サービス自体が世のニーズにマッチしなくなってきたということを意味します。

 

よくある勘違いですが、マーケティング活動が下手だからとか営業マンの努力が足りないからとかそういう問題ではないのです。

 

特に、いままで儲かっていた商品・サービスはマーケティングも営業も上手くいっていたわけですから、売れなくなってきた要因は商品・サービスそのものに起因する場合が多いはずです。

 

景気のせいにして売上高はすぐにまた戻ると楽観視したくもなりますが、景気の変化も相まって、その商品・サービスが世のなかのニーズに合わなくなってきているのです。

 

売上高が恒常的な下降トレンドにある場合、残念ながらそれは御社の商品・サービスが「もうイケてない」というサインなのです。

 

 

川崎 晴一郎

公認会計士・税理士

KMS経営会計事務所・株式会社KMS代表

※本連載は川崎晴一郎氏の著書『秒速決算 ~スピーディに人を動かす管理会計で最高の利益体質をつくる!~』(技術評論社)より一部を抜粋・再編集したものです。

秒速決算

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川崎 晴一郎

技術評論社

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