本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が9月1日に配信したレポート『マクロ見通しー現実味を増すインフレ加速と景気後退』より一部を抜粋したものです。

ゼロコロナ政策による中国の「ロックダウン疲れ」

消費者心理に重くのしかかる2つ目の政策が、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める中国の戦略であるゼロコロナ政策です。厳しいロックダウンにより経済活動は大きく落ち込みました。

 

足元では新型コロナウイルスのオミクロン型の新たな派生型「BA.5」の感染拡大に伴い3,000万人近い人々が行動制限の対象となっています(注4)。しかし、マイケルは中国当局も容赦ないゼロコロナ政策が消費者心理におよぼす影響を注視していると指摘しています(図表2)。

 

出所:ファクトセット、OECD 期間:2005年12月30日~2022年5月31日
[図表2]中国の消費者信頼感指数 出所:ファクトセット、OECD
期間:2005年12月30日~2022年5月31日

 

マイケルは新型コロナウイルスの感染拡大の抑制と国内景気のテコ入れのバランスを改善する方向で軌道修正が進行中であると考えています。今後は中国経済への影響が少ない行動制限が導入される可能性があります。

 

注4:(出所)ブルームバーグ・ニュース, “Some 30 Million People Face Covid Curbs: China Lockdown Tracker,” 2022年7月11日。

中国以外の投資機会

マイケルは中国の景気減速についてさまざまな議論を展開していますが、今年に入り、無差別に売られてきた他の新興国市場にも魅力的な投資機会を見出しています。

 

マイケルが注目する主な経済特性として、優れた社会的結束力と良好な財政ガバナンス、海外資金への依存度の低さ、FRBよりはるかに早くインフレ退治に乗り出し信用力が高い中央銀行の存在などがあります。

 

地域別では新興国市場の中でアジアが突出しています。たとえば、韓国の中央銀行は2021年8月にアジアでいち早く利上げに踏み切りました(注5)。韓国のサプライチェーンは中国とつながっており、中国の入国制限の緩和により恩恵を受ける可能性があります。

 

マイケルはインドネシアにも注目しています。インドネシアは天然資源に恵まれ、世界的に需要が旺盛であり、石炭、天然ガス、鉱石(銅やニッケルなど)と並び、世界のパーム油の供給量の60%を占めます(注6)。

 

インドネシアは財政赤字の削減を目指す財政規律のスタンスを重視しています。マイケルのチームでは、国際商品価格の高騰を追い風にインドネシアは2023年には財政赤字をGDPの3%以下に抑える目標を達成すると予想しています。

 

アジア以外では、マイケルは中南米もリスク調整後ベースで魅力的な投資機会を提供していると考えています。たとえば、チリは負債による資金調達ニーズが比較的低く、中央銀行の信用力も高いです。中央銀行は先ごろ、通貨防衛に向けて今後3ヵ月間で250億米ドル規模の為替介入の用意があることを明らかにしています。

 

インフレや世界的な景気後退をめぐる先行き不透明感は広がっていますが、新興国市場のマクロ経済ファンダメンタルズ分析の運用担当者は世界各地にはまだ投資機会が存在すると考えています。

 

注5:(出所)Kim, S. “Bank of Korea Joins Jumbo Hikers as Inflation Fight Heats Up,” ブルームバーグ、2022年7月13日。

 

注6:(出所)Listiyorini, E. “Palm Oil Exports From Top Grower Set to Soar 60% in Price Blow,” ブルームバーグ、2022年7月20日。

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/21開催】金融資産1億円以上の方のための
「本来あるべき資産運用」

 

【5/21開催】ドクター・高所得サラリーマン必見!
今できる「中古太陽光」を活用した個人の節税対策

 

【5/23開催】継がせる、売る、税対策も可能な
「自社株承継」とは?後継者への承継を悩む
社長の事業承継の進め方

 

【5/25開催】業者がうたう“表面利回り”を鵜呑みにするな!
あらゆる事態を想定した「不動産投資の収支」大研究

 

【5/25開催】「京都の町家」投資の魅力
減価償却も可能!京町家だから実現する投資法

 

【5/26開催】~富裕層のファミリーガバナンス~
相続問題、夫婦の資産管理、家族経営の問題…
家族関係を意識した「資産管理・保全・防衛策」

※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。
●当資料は説明資料としてフランクリン・テンプルトン(フランクリン・テンプルトン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。以下FT)が作成した資料を、フランクリン・テンプルトン・ ジャパン株式会社が翻訳した資料です。
●当資料は、FTが各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載 されている運用スタンス、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。
●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利はFTに帰属します。したがって、FTの書面に よる同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。
●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
●フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第417号、加入協会/ 一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取引業協会) はフランクリン・リソーシズ・インク傘下の資産運用会社です。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録