(※写真はイメージです/PIXTA)

どんなに激しい怒りでも、感情のピークは長くて6秒だといわれています。この6秒さえ我慢して乗り切れば、衝動的な行動を起こしにくくなるといいます。生じた怒りはなぜ収まるのでしょうか。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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カッとなったら「6秒ガマン」のルール

何かの拍子に怒りがわいたとき、何秒待つと怒りが収まるといわれているでしょうか?

 

①6秒
②16秒
③60秒
④600秒

 

答えは①の6秒です。

 

もちろん、個人差はありますから、すべての人にぴったり当てはまるというわけではないでしょう。しかし、怒りが生じたら、6秒くらい耐えると抑えることができるということらしいです。いかがでしょうか。皆さんは、イメージがわきますか?

 

実際に突発的に怒りがこみ上げたときに、我に返って「6秒の我慢だ」と自分を抑えるのは、私にはなかなかハードルが高いような気がします。しかし、ここでお話ししたいのは、その時間はともかく、生じた怒りはなぜ収まるのか、そして、それは脳のどの場所の働きで行われているかということです。

 

怒りをはじめ人の感情は、脳の中の「大脳辺縁系」というエリアで生まれます。生まれた感情の暴走を抑えるために理性を発動するわけですが、その理性は「前頭葉」という場所が担当しています。つまり、大脳辺縁系で生じた感情を、前頭葉の理性で制御するといった関係です。

 

感情が発生して、それに対して前頭葉が本格的に働き始めるまでに掛かる時間が3〜5秒程度といわれていて、そのため、6秒耐えれば理性の働きにより感情を鎮めることができるというわけです。皆さんの周りに、いわゆる「キレやすい」タイプの人はいませんか? もしかすると、その人は前頭葉がうまく働いていないのかもしれません。

 

ここまで、怒りという感情を例にしましたが、当然、感情は怒り以外にも存在します。それらも、大脳辺縁系と前頭葉の相互作用によってコントロールされています。一般的にいわれている「メンタルコントロール」を実現するには、さまざまな要素があるのだと思いますが、その要素の1つに前頭葉による感情の制御があります。

 

ところが、メンタルコントロールは、大脳辺縁系と前頭葉の力関係を考えると、そう簡単ではなさそうです。なぜなら、理性と感情は、持っているパワーからすると感情のほうに軍配が上がります。

 

これは、感情は本能的に、あるいは自動的に発生するのに対して、理性は意識しないと働かせられないということもあるでしょう。こうした構造からいえることは、メンタルコントロールのためには、より前頭葉の働きを高める必要があるというのはおわかりでしょう。前頭葉を活性化させて、感情と理性のパワーバランスを調整すればいいのです。

 

次ページ記憶能力がメンタルコントロールを上手にする

本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

在宅勤務など個人単位で働く機会が増え、従来よりも個人の成果に焦点があてられ、成果物の質を決める「思考力」が要求されています。まずは頭の中の知識・情報の量を増やし、これらを有機的に結び付け、価値のあるアイデアを生…

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