(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、建設需要の増加により、建築業界は明るい見通しです。しかし、これが中小規模の建設会社にとって追い風になるかは疑問と言わざるを得ません。大手と中小間で利益格差が生じ、逆風に転じる可能性を十分に秘めています。生き残りをかけて、さまざまな見直し・改革が必要な建設会社に必須の「原価管理術」を、業界導入実績ナンバーを記録した「原価管理システムツール」の開発・提供をする三國浩明氏が、徹底的に解説します。

原価管理に抵抗感のある者が一人でもいれば成立しない

「利益検討会」を行うにあたり最初に行うべきは、原価管理に関わる業務フローをきちんと守らせることです。

 

原価の集計なくして原価管理を行うことはできません。どの工事にどれだけの原価がかかっているかを把握できなければ利益の予想など立てられるはずがないからです。

 

したがって、原価集計に関わる業務をきちんと行わない社員が一人でもいれば何の意味もない「利益検討会」になってしまうのです。特に、原価管理そのものに強い反対意識をもつ社員がいたら「利益検討会」どころではありません。

 

そのようなことのないよう、社長は社員が納得できる状況を作る必要があります。

 

原価管理の利点は利益が可視化できる点にあります。しかし、そのこと自体が社員の抵抗感を招いている事実は否定できません。

 

なぜなら、社員一人ひとりが生んだ利益が可視化されほかの社員と比べられると思われるからです。

 

そこで、社長がはっきりと示すべきは「社員の出した利益ではなく、努力を評価する」という姿勢です。

 

例えば目標とする計画利益2,000万円に対して1,900万円の実績の工事Aと、計画利益1,000万円に対して1,050万円の工事Bがあったとします。

 

利益の絶対値でいえば工事Aのほうが大きくなっていますが、工事Bは利益計画以上の利益を生み出せています。そうした点にも注目して評価をするのです。

 

社員の努力をきちんと評価するうえでも原価管理は役立ちます。

 

さきほどのケースでいえば、原価管理をしないとやはり工事Aのほうが高く評価されがちです。これでは、社員としては原価を抑えようという気持ちが起きるはずがありません。

 

また、割り当てられる工事の案件次第で社員の評価が変わるわけですから不公平感が生まれます。

 

私がこれまで見てきた建設会社の多くは、原価管理を取り入れたことを機に社内の連帯意識を高めることに成功しています。

 

全社年間利益目標という共通のゴールに向かって走り、各自の貢献度が公平に可視化されるわけですから連帯意識が起きるのは当然です。

 

かつての“どんぶり勘定”だった建設会社の姿はもうそこにはありません。

 

三國 浩明
株式会社建設ドットウェブ 代表取締役
一般社団法人原価管理研究会 代表理事
 

利益を生み出す建設業のための原価管理術

利益を生み出す建設業のための原価管理術

三國 浩明

幻冬舎メディアコンサルティング

大手電器メーカーのコンピューター販売部門に30年間務めるなかで、建設会社への原価管理システム供給の必要性と将来性を感じ、起業。業界導入実績ナンバーワンを記録した、原価管理システムを提供している著者が、長いキャリア…

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