(※写真はイメージです/PIXTA)

「生涯ずっと笑って過ごすためのカギ」。医師の北廣美氏は書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』のなかで「認知症予防」や「健康長寿対策」について解説しています。

当てはまったら要注意!日常のあるあるだと思いきや…

「ほら…あの…なんていったっけ、あの人の名前?」

 

「2階に上がってきたけど、何をするつもりだったっけ?」

 

そんな経験、ありませんか? 若い頃ならすぐに思い出せたことが、思い出せない。

 

絶対に忘れなかったことを忘れてしまう。それも加齢による脳機能の低下の一つです。ますます高齢化が進む今日の社会において、脳の老化は誰にでも起こりうる問題です。

 

次のような症状が現われたら要注意です!

 

(1)注意力の低下 

 

脳機能の低下といえば、年をとると気がかりなことが増えてきます。たとえば「注意力の低下」です。

 

・何もない所でつまづき、転びそうになる。

 

・車を運転していてヒヤリとすることが増えた。

 

・ガスコンロの火をつけたまま忘れてしまった。

 

・料理をしていて包丁で指を切ってしまうことが増えた。

 

・無意識に物に手が当たり、物を落とすようになった。

 

・改札口で切符をなくしたと思ってあわてて探した、等々。

 

ある程度の年齢の方は、こうしたことを一つや二つは経験されているのではないでしょうか。

 

(2)ワーキングメモリーの低下

 

また「ワーキングメモリーの低下」も気になります。

 

ワーキングメモリーとは、行動・作業を行う際にプールする記憶のことで、単なる短期記憶とは異なる記憶で、人とのコミュニケーションや仕事、学習などの日常生活において重要な記憶のことです。

 

そして、ワーキングメモリーの低下とは、記憶を伴う多くの作業を行うための容量が少なくなるために、作業がうまく進まなくなってくる現象です。

 

たとえば、電話をかけようとして電話番号を聞いた場合、

 

・電話番号を覚える作業

 

・受話器を取り上げる作業

 

・ボタンを押す作業……

 

こうした作業をしているうちに、聞いていたはずの電話番号が頭に残らずに電話がかけられなくなったという現象のことです。

 

ワーキングメモリーが増すと、多くの作業に関する記憶をたくさん貯めることができるので、複数の作業を並行して行っても、それぞれ正しく処理できることになります。

 

聖徳太子が、同時に複数の人の意見を聞き分けて、的確な返答をしていたという話は有名ですが、もしかすると聖徳太子は、ワーキングメモリーが多い人だったのかもしれません。さて、ワーキングメモリーが低下すると次のような問題を引き起こします。

 

・何かを取りに台所に来たけれど、何を取りに来たのか忘れてしまった。

 

・先ほどまで覚えていた用事を忘れてしまう。

 

・何か言おうと思っていたが、言うことを忘れた。

 

・暗算ができなくなった。

 

・家事に時間がかかるようになった。

 

・買い物に行ったときにセール品に気をとられ、目的の商品を買うのを忘れて帰った。

 

・2階に本を取りに行ったときにベランダに干している洗濯物が目に入り、洗濯物を取り入れると本を取りに行ったことを忘れていた。

 

・ホテルのフロントに鍵を預けて外出したが、戻ってきたとき自分の部屋番号を忘れてしまった、等々。

次ページ“あるある”と受け流さず「脳機能の低下」に手立てを!

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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