「PCR陰性証明の不携帯」ではなにもできず…
甘粛省蘭州では、飛行機到着後になぜか私だけが「お呼び出し」を受けた。他の客から冷たい視線を浴びるなか、私1人が先に飛行機を降り、バスで格納庫に強制移送。臨時の検問スペースで直近2週間の行動を細かく聞かれた。何も悪いことをしていないのに、精神的にやや参った。
他にも、PCR陰性証明の不携帯により「江蘇省でホテル宿泊を断られ、なんとか隣町に移動して泊まった」「海南島でホテルに泊まれず、そのまま上海にとんぼ返りした」という例も聞く。
各地で対応が異なるため事前調査が必須だが、政策はコロコロ変わるし、調べるだけで気が重くなり旅行ムードは吹き飛んでしまう。遠出はやめて「PCR検査が不要の近郊へのお出かけ」が増えているのもうなずける。
出張を極力少なくする企業もある。検査の有無とは関係ないが、21年1月には北京での訪問アポが30分前にドタキャンになったこともある。
「上海で感染者が出ていますよね。私は大丈夫なのですが、同僚が怖がっておりまして……」と申し訳なさそうに謝られた。まぁ、平たくいえば「上海から来た者はお断り」ということ。今般の都市封鎖を経て、しばらくは他都市から上海市民を見る目が厳しくなりそうだ。
いずれにせよ、PCR検査にはもう慣れてしまった。上海でも訪問先でも、検査場所を調べることが習慣になっている。旅行のためにPCR検査を受けるのか、PCR検査を受けるために旅行に行くのか。自分でもよくわからなくなりますが……。
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
奥山 要一郎
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