(※画像はイメージです/PIXTA)

東京都の調査によると、都内在住の79.8%の中学生がスマホを所有しています。便利な道具である以上に、SNSやオンラインゲームに関するトラブルの増加や長時間の利用で勉強や生活、健康に支障が出ています。どう規制すべきでしょうか。塾なしで長男を志望校に入学させた塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)で解説します。

スマホの利用は親の管理が必要な場合も

時間の惜しい中3の受験生にとって、SNSは必ずしも必要なものではありません。また通信アプリは友人と連絡をとる上で多少メリットはあったとしても、毎日学校で会っている中学生同士。縛られるデメリットもあるように思います。受験生であってもそれらを使いたい子どもが勉強に集中するためには、勉強部屋に持ち込まない、勉強中は必ず通知音をオフにするなどの対策が必要でしょう。

 

話し合いをした上で、私たちの言い分に納得して息子はスマホを持ち、約束を守りながら使っていました。親として「子どもになぜスマホを持たせるのか」を考えたときに、目的から外れ、なし崩し的に自由に使わせることには、あまり賛同できません。そのため我が家では、先ほどの二つの約束はきちんと守って使わせていました。

 

余談ですが、IT企業のトップたちは、自分の子どものスマホの使用には慎重だといいます。ビル・ゲイツは、子どもが14歳になるまでスマホは与えなかったそうです。アップル創業者のスティーブ・ジョブズも、子どもが使うiPadは、スクリーンタイムで厳しく制限していたといいます。その魅力を熟知しているからこそ、SNSやゲームが、子どもたち(特に脳)に与える影響は計り知れないと考えているのです。

 

特に、ゲームについては中毒性がありますから、強い意志がないと自らやめにくいものです。息子も切り上げられるときもあれば、だらだらやっていることもありました。「今、何をすべきか」、大切なことに自分で優先順位をつけられない状態は危険だということです。自分で切り上げられない場合、このときだけはまだ中学生と子ども扱いをして、強く言い聞かせました。

 

気分転換以上に時間を使ってしまっては、受験生には有害でしかありません。スマホやゲーム機は保護者が与えているものですから、親の管理のもとで楽しむものと理解させ、そこは厳しく対応することが賢明です。

 

小中学生のトラブルには、SNSやゲームに端を発するものも少なくありません。このことは、時間を浪費するだけでなく、本人がトラブルや悩みを抱える可能性が高くなることを意味します。相手あってのことですから、なおさら、自分の思い通りにはいかないでしょう。

 

スマホを気にせず、雑音・騒音のない環境で勉強するほうが、絶対に集中できます。通信アプリは、頻繁に通知が届きます。予防策は、勉強部屋にスマホを持ち込まないことです。部屋にあると気になってつい手が伸びてしまうでしょう。

 

スマホを近くに置いておくだけで集中力が落ちたという実験データもあるようです。受験期間中は、メッセージが頻繁に来る通信アプリは思い切って使わせない、というのもひとつの方法です。受験が無事に終われば解禁する、でよいのですから。

 

休憩中のゲームをそろそろ切り上げさせたいときに心がけたのは、「やめなさい」とはできるだけ言わないことでした。「あと5分?」や「もう30分たつね」などと言って、自分から切り上げるように促しました。それでもだめなら最後は「それでいいと思うなら、ずっとやっていたら」と突き放すと、絶対にやめました。

 

残念ながら今の子どもたちは、スマホやゲームのない世界で生きていくことはできません。「やるな」とまでは言わなくても、自分でコントロールできない状態は危険だと教えること、今、何をすべきか自分で考えること、自分からやめない場合は、毅然とした態度でやめさせるなど、親の強い姿勢が必要です。なぜならスマホは、親が与えているものですから。

 

スマホの使い方について特に受験生の場合、親のコントロールが必要な場面は多いでしょう。受験生の時間は限られますが、気分転換以上に、SNSやゲームは度が過ぎて時間を食います。使い方については、各家庭の方針があると思いますので、そのルールに則ってきちんと管理されるとよいと思います。

 

ちなみに受験が終わった後すぐ、息子のLINEは解禁となりました。中学時代の友人をはじめ、今は多くの友達とつながっています。

 

塚松美穂
ライター・教育アドバイザー
学習支援コーディネーター

 

 

※本連載は塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「塾なし」高校受験のススメ

「塾なし」高校受験のススメ

塚松 美穂

プレジデント社

たくさんの習い事に、塾を掛け持ちしている小学生。中学生になれば、学習塾にいくのが当たり前の世の中で、周りを見れば塾通いのクラスメートばかり。「塾にいかないと子どもたちは希望する進路に進めないのだろうか」という疑…

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