(※写真はイメージです/PIXTA)

「歳をとったから」「メンタルが弱いから」……手のふるえの症状が出ているのに、病院に行かずに我慢している人が多いと、森山脳神経センター病院院長の堀智勝氏はいいます。本記事では、そんな「手のふるえ」の正体と治療法について解説します。

「本態性振戦」の治療…「薬物療法」と3つの「手術」

最初は薬による治療から開始します。本態性振戦については、交感神経遮断剤や抗てんかん薬を使用し、ふるえを抑えます。ただし、本態性振戦は進行性の病気であるため、薬の効き目が弱くなったり、薬が効いている時間が短くなったりします。

 

そうなると薬の量を調整するなどして対処しますが、薬の治療だけで改善されない場合は、手術療法による改善を検討します。

 

ふるえの症状に対しては、パーキンソン病、本態性振戦ともに、脳の深いところにある「視床」という部位が治療の対象となります。手術による改善方法は主に3つあります。

 

1つ目はRF(高周波凝固術)です。定位脳手術と呼ばれ、頭蓋骨に穴を開けて凝固針を視床に刺入し、組織を熱凝固します。手術時間は2時間程度で、効果は長続きします。稀に言語障害や麻痺等の副作用が起こることもあります。

 

2つ目はDBS(脳深部刺激療法)です。高周波の電気刺激を発生する電極とペースメーカーをそれぞれ頭蓋内と体内に埋め込む手術で、7~8時間ぐらいかかります。

 

症状の度合いに応じて電気刺激量を調整できる一方、機器の体内埋め込みによる感染症リスク、機器の故障リスク、充電・電池交換が必要となります。RFが原則、片方の手のふるえに対してのみ行うのに対して、DBSは両手のふるえに有効な手術です。

 

3つ目がFUS(集束超音波治療)です。ヘルメット形状の機器を頭にかぶせ、頭蓋骨を透過する超音波を多方向から病巣部に一点集中照射し、組織を熱凝固する治療法です。メスや麻酔は使わず、治療中は医師との会話や治療効果の確認作業をとおして、改善度や副作用を確認しながら治療を行うことができます。

 

FUSは最近出てきた新しい治療法で、頭蓋骨に穴を開けたり体内に機器を埋め込む必要がないため、感染症のリスクは低いです。ただ、副作用として稀に言語障害や麻痺等が起きます。

 

治療時間は2時間以内で、入院期間が短く、体への負担も少ないといったメリットがありますが、頭蓋骨の骨密度等の要因によって治療効果が期待できない方もいます。公的保険や高額療養費制度の対象となり、他の外科的治療と同様に、費用面でも受けやすくなっています。

 

いずれにしても、3つとも手術なので、手術に伴うリスク、体力や見込める治療効果などを考慮して、専門の医師とよく相談して最善の方法を検討することが重要です。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。