「新エネ車」の自動車産業と免税市場に注目
新エネ車・車載電池セクターは高成長継続、内需拡大で乳製品にも注目
新エネ車と車載電池市場の好景気が続きそう。2022年の新エネ車販売台数は500万台(前年比47%増)と見込まれる。大手のBYD(01211)の新エネ車販売比率は足元で7割超(市場全体は約13%)。全新モデルに自主開発の高性能車載電池「ブレードバッテリー」を搭載している。
また、ハイエンドEV「ZEEKR」などを手がける吉利汽車控股(00175)の躍進にも期待したい。
電池メーカーでは低コストのLFPタイプに強みを持つ国軒高科(002074)が有望だ。電池部材の負極材最大手の上海璞泰来新能源科技(プータイライ、603659)は、部材価格の高騰・高止まりの恩恵を受けると見られる。
一方、新エネ車の購入補助金の減額や21年の高成長からの反動には注意が必要となろう。
このほか、国策の後押しで整備が進む特高圧分野で国電南瑞科技(600406)の存在感が強まろう。健康志向の高まりで乳製品需要が伸びていけば、最大手の内蒙古伊利実業集団(600887)の商機が拡大しそうだ。
大型施設OPENで免税市場に注目続く、不動産は最悪期を脱するか
新型コロナの感染拡大と移動制限は気がかりだが、消費関連では引き続き中国旅遊集団中免(601888)に注目していきたい。免税店人気は根強く、22年には東京ドーム約20個分の広さの「海口免税城」が完成予定だ。医薬面では、バイオ医薬品の開発受託会社の薬明生物技術(02269)の高成長が続きそう。同社は22年の増収率を45%と見込む。
一方、江蘇恒瑞医薬(600276)は集中調達による薬価引き下げを受け業績が伸び悩んでいる。不動産は中国恒大集団(03333)などのデフォルト懸念が継続も、金融緩和が一定の好材料として働きそうだ。
中国の金融監督管理部門は21年12月、「恒大リスク」は制御可能と指摘。同12月開催の中央経済工作会議では、22年の経済運営において「安定が最重要」との基本方針が確認された。
不動産については、投機抑制を堅持する一方、合理的な住宅ニーズをよりよく満たすことを支持し、業界の健全な発展と好循環を促すとの主旨も示されている。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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