(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

10月分機械受注(除船電民需)は前月比+3.8%と3ヵ月ぶりに増加に転じる

 

製造業・前月比▲15.4%と2ヵ月ぶり減少、非製造業・前月比+16.5%と2ヵ月ぶり増加

 

3ヵ月移動平均増加転換も微増で、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断据え置き

 

10~12月期見通し前期比+3.1%、11月以降各前月比+0.3%で達成。実績は上振れか

 

 

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+3.8%と3ヵ月ぶりの増加になった。また、3ヵ月移動平均は前月比+0.4%で3ヵ月ぶりの増加になった。但し、横ばい圏の増加で、基調判断を上方修正させるには力不足の数字だったようだ。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.9%で7ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回9月分では製造業の化学工業で、化学機械1件が該当したが、今回9月分では非製造業の運輸業・郵便業で、鉄道車両1件が該当した。

 

●10月分製造業の前月比は▲15.4%と2ヵ月ぶりの減少になった。9月分の前月比が+24.8%と大幅な増加率だった反動が出た。10月分の製造業では17業種中、8業種で増加し、減少は9業種だった。電子計算機等、電子応用装置といった電気機械、風水力機械、運搬機械といったはん用・生産用機械などが増加に寄与したが、化学機械、火水力原動機といった化学機械、化学機械、通信機いった「その他製造業」などが減少に寄与した。

 

●10月分非製造業(除船電民需)の前月比は+16.5%と2ヵ月ぶりの増加になった。9月分では大型案件がその他重電機1件だった電力業は、10月分では火水力原動機2件、発電機1件と計3件に増えた。電力業の前月比は+117.1%と4ヵ月ぶりの増加となった。運輸業・郵便業の大型案件は全部で6件だったが、前述の鉄道車両1件の他船舶が5件あった。10月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+52.1%と4ヵ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、10業種が増加で2業種が減少となった。鉄道車両、道路車両といった運輸業・郵便業が前月比+170.1%の大幅増加になった。他に、電子計算機等、「その他重電機」といった金融業・保険業などが増加に寄与した。一方、通信機、火水力原動機といった通信業などが減少に寄与した。

 

●大型案件は、前回9月分は全体で6件。内訳をみると、製造業の化学工業(化学機械1件)と非製造業の電力業(発電機1件)の民需が2件、官公需が3件(国家公務で電子計算機等2件、地方公務でその他産業機械1件)、外需が1件(鉄道車両)である。今回10月分は全体で14件。内訳をみると、前述の運輸業・郵便業と電力業の民需が併せて9件、官公需が5件(防衛省で航空機1件、地方公務で化学機械2件、その他官公需で電子計算機等2件)である。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は10月分前月比+13.2%と2ヵ月ぶりの増加となった。前年同月比は+19.2%と7ヵ月連続の増加になった。

 

●外需は、10月分の前月比が+17.2%と2ヵ月ぶりの増加になった。前年同月比は+41.8%で7ヵ月連続の増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、21年5月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正され、6月分に続き7月分でも据え置きとなっていた。しかし、8月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。前回9月分に続き今回10月分でも「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が据え置かれた。

 

●機械受注(除船電民需)の10~12月期は前期比+3.1%の見通しである。見通しは、11月から12月までの各前月比が+0.3%ずつ増加することで達成できる。

 

●機械受注(除船電民需)の10~12月期・前期比実績は2019年(平成21年)から昨年までの12年間でみると、上振れ8回、下振れ4回であり、上振れしやすい傾向にある四半期であり、今年も上振れる可能性がありそうだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、21年2月に37.5(同14人)、3月47.5(同10人)、4月44.4(同9人)、5月45.0(同5人)、6月50.0(同7人)、7月50.0(同7人)、8月45.8(同6人)、9月47.7(同11人)、10月53.6(同7人)、11月40.0(同5人)と推移している。11月では「5G市場や半導体向けパッケージ基板の需要の拡大に伴い、設備投資が増加していることから、製造装置の受注量が増加し、好調を維持している。(中国・電気機械器具製造業〔総務担当〕)」というコメントがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは21年2月44.4(同9人)、3月55.6(同9人)、4月46.9(同8人)、5月37.5(同6人)、6月43.8(同4人)、7月43.8(同8人)と推移し、8月28.7(同7人)に落ち込んだ後、戻して、9月53.6(同7人)、10月52.8(同9人)、11月57.1(同7人)と3ヵ月連続の50超になった。11月では「企業の事業活動再開により、設備投資関連部品の需要増加、更に移動手段としてのオートバイ需要の高まりから、関連部品の受注が大きく伸びている。一方で自動車関係は、半導体供給不足等の影響により、需要は高水準にあるもののメーカーの生産調整が入り、受注が低迷している。(北陸・一般機械器具製造業〔経理担当〕)」というコメントがあった。

 

●日本工作機械工業会によると、11月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+84.1%と、3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%に続き、9ヵ月連続の増加になった。受注が増加傾向にあることが示唆される。機械受注統計での民需からの工作機械受注も前年同月比2ケタ増加の動きになっている。10月分の前年同月比+63.5%と、3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%とに続き8ヵ月連続の増加である。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年10月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2021年12月13日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録