(※写真はイメージです/PIXTA)

精神医療における薬物治療は、医師にだけ可能な行為であるために、単に「薬を処方するだけ」となりがちであるのが精神医療の現実です。医療法人瑞枝会クリニック・院長の小椋哲氏は「精神科医の対人援助スキルが乏しい」と語ります。この記事では、精神医療の現場における「改善点」を同氏が提案していきます。

ありがちな「度重なる通院」と「過剰な処方」を回避

予約診療は終了時間が決まっているため、しっかり自分の話を聞いてもらえる時間だという患者の安心感を引き出すと同時に、良い意味での緊張感ももたらします。その日の診察が20分と決まっている場合、患者は予約料を支払っていることもあり、この限られた時間を最大限活かそうと工夫するようになることもメリットだと考えています。

 

診察の前日や自宅を出る前、あるいは診察室に入る前に、今日担当医にどんなことを報告するか、何を相談するか、どんな質問をする必要があるか、ということを事前に考えてくれるようになったり、優先順位をつけておいてくれたりするようになります。

 

患者が事前に相談内容を整理したうえで安心して診察に臨めれば、医師も状況の把握やボトルネックの発見が容易になり、結果として早い回復につながります。

 

患者にとっては通常の診察にかかる自己負担に加えて、予約料の負担が上乗せされることになりますが、長期間にわたり改善しない症状に苦しみ続け、度重なる通院と過剰な処方による心身と経済的な負担があることに比べれば、それほど大きな負担ではないと感じている患者が多いです。

 

 

小椋 哲

医療法人瑞枝会クリニック 院長

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

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