(※写真はイメージです/PIXTA)

腎不全が進行すると、人工的に血液の浄化を行う「人工透析」治療の必要に迫られます。成人の8人に1人が腎臓病であるいま、誰にとっても他人事ではありません。さて、透析は病院で行うものがよく知られていますが、実は在宅でも可能なことをご存知でしょうか。その詳細を、腎臓内科医・南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説していきます。

「在宅血液透析」いいことずくめの詳細

在宅血液透析を受けている人のほとんどが「自分の自由な時間で透析ができる」ことをメリットの1つに挙げています。

 

施設透析はどうしても時間の拘束が患者の大きな負担になります。

 

「自由になる時間が少なくなる」

「もっと趣味に打ち込める時間が欲しい」

「家族や友人と出かける予定が立ちにくい」

 

――こうした時間のやりくりにまつわる悩みは、施設透析での患者につきものです。

 

しかし在宅血液透析なら、自分の生活スタイルに合わせて、透析スケジュールを組むことができます。時間の融通が利くだけではありません。

 

施設血液透析は、保険適用になる上限が月14回まで、と決まっていますが、在宅血液透析では何回行っても治療費は追加されません。連日や隔日での透析も可能です。施設血液透析よりも、回数や時間を多くすることができるため、しっかりと、十分な量の透析ができるのです。

 

施設血液透析では、透析を行わない日は水分や老廃物、過剰なリンやカリウムを体内にためておくことになります。それゆえに、食事制限を厳しくして、体に負担を掛けないようにしなければなりません。

 

しかし在宅血液透析なら、その日のうちに摂取した水分、リンやカリウム、尿毒素を、透析で取り除くことが可能ですから、その分食事制限が緩くてすむのです。

 

また、毎日リンやカリウムの除去ができますから、リン吸着剤、カリウム吸着剤といった薬の量を減らすこともできます。つまり、施設血液透析よりもずっと、生体の腎臓に近い機能を得られる、というわけです。

 

繰り返しになりますが、透析は頻回かつ緩やかであるほうが、老廃物を取り除く効率が良く、体調の変動も少なくてすみます。生体の腎臓は毎日24時間働いているわけですから、在宅透析で施設透析よりも回数、時間とも増やして行うほうが、それにより近い働きができるのは明白です。そして、長期的には予後の改善も期待できるとされています。

 

「楽にできて、体に優しく、予後も良くなる」いいことずくめの透析方法が、在宅血液透析なのです。

 

 

鈴木 孝子

南青山内科クリニック 院長 

※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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