発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな支援サービスを選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつだといえます。本連載では、発達障害グレーゾーンの特性をIT分野で活かし経営者となった齋藤秀一氏が、自身が放課後等デイサービス「ココトモ」設立にあたり、意識したポイントについて解説していきます。

「ITの力」で子どもたちの支援時間を増やすことに成功

児童発達支援管理責任者や職員が、子どもたちと向き合える時間を増やす。そのために、僕たちが施設運営と並行して開発していた、成長療育型サービス支援システムHUG(全国2000以上の発達児童支援・放課後等デイサービス事業者に提供)が力になれることも分かってきました。

 

子どもたちと向き合っている施設であれば、保護者の方にも「ここはきちんとした支援をしてくれる」と評判になります。そうしたことが、自分たちで施設運営をしていることで目の当たりにできるわけです。

 

保護者の方に安心してもらい、信頼していただけるためには何が必要なのか。これをすることでどんなふうに支援がしやすくなるのか。保護者との連携で大事なものは何か。職員が子どもたちと向き合うには何が必要か。それらの答えが「時間をつくること」でした。

 

子どもたちへの支援の時間を増やす。ITの力で余計な事務作業を減らして効率化し、残業時間も少なくして健康に働ける職場環境をつくることで、子どもたちとゆとりをもって向き合える施設づくりができるのです。

 

そうすれば自ずと人気施設となり、運営も安定していきます。運営が安定すれば、利用者の方にもより質の高いサービスが継続的に提供できます。

保護者との連携をより強固なものにするために

成長療育型サービスを支援するHUGでは、保護者との連携を重視して、クラウド経由で保護者の方に子どもたちの毎日の記録を確認共有できるマイページもつくりました。

 

パソコンやスマホから、どんな活動が行われているか一日の様子や活動の記録を閲覧できる。 来所・退所の際の通知メールも設定可能で、施設と保護者をつなぐシステム。
[図表2]HUGのマイページ パソコンやスマホから、どんな活動が行われているか一日の様子や活動の記録を閲覧できる。
来所・退所の際の通知メールも設定可能で、施設と保護者をつなぐシステム。

 

こうした仕組みがない施設では、一人ひとりの様子を手書きで渡すか送迎の際に口頭で説明するかしないと、子どもを預かってもらっている保護者には、子どもたちが施設で日々「どんなことを、どんな目的で、どんなふうに行っているのか」が分からないままだったのです。

 

現実問題として、施設ではいろいろなことが起こります。子どもたち同士のちょっとした喧嘩もあります。そんなときに何か確認できるものがないと、保護者の方には施設への不信感が募るわけです。

 

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発達障害でIT社長の僕

発達障害でIT社長の僕

齋藤 秀一

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障害は一見して「障害」とは分かりにくく、周囲の理解を得づらいため、生きづらさを抱えてしまうのです。 本書では、発達障害グレーゾーンの特性をIT分野で活かし経営者となった著者が、障害を才能に変え、自分の居場所…

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