旧正月明けを待っていよいよ大詰めを迎えた、商業ビル・ホテル・コンドミニアム併設の大型開発案件「Grand Marina Saigonプロジェクト」。国内外の投資家・不動産業界関係者たちは、このプロジェクトの現況を固唾をのんで見守っています。なぜならプロジェクトの背景には、ベトナムの法律が複雑に絡んだ、ビジネス上の厳しい事情があるからです。このプロジェクトの行く末は、ベトナム不動産市場の将来像となるかもしれません。現地で不動産ビジネスを展開する筆者が解説します。

「Grand Marina Saigonプロジェクト」の概要は?

改めて、注目の「Grand Marina Saigonプロジェクト」を検証していきましょう。

 

【プロジェクト概要】

デベロッパー:MASTERISE HOMES

建設会社  :NEWTECONS

住 所    : 2 Ton Duc Thang Street, Ben Nghe Ward, District 1, HCMC

総面積     :約10ha

販売種類      :コンドミニアム 4棟(1棟:36階、2棟:47階 、1棟:60階)

販売数         :4,200ユニット(予想外国人販売枠30% 約1,260ユニット)

建築密度      :45%

販売価格      :予定価格1万2,000usd/m2~1万6,000usd/m2
       (VAT10%・修繕費2%別)4月販売開始日に正式発表

引渡時期      :2023年までを予定(4月販売開始日に正式発表)

部屋タイプ    :1bed〜3bed + Shophouse、Officetel & 高級アパート
       (50~150m2

※備考
4月販売予定分は47階1棟、36階1棟を予定。47階の建物は、20階付近で工事がとん挫した旧The Centennial Alpha Kingの建物。先述したように、この物件の当時の販売価格は平米1万米ドル前後。筆者としては、工事途中での中止も考慮に入れて売却価格を設定してほしいところ。

立地は申し分なしだが、建物クオリティは懸念点も

場所は、ホーチミン市の中心に近く、現在最も地価が高いNguyen Hue通りから1駅という好立地です。都市鉄道METRO1号線始発から3駅目のバソン駅に隣接する、サイゴン川沿いの新たな街として注目されているエリアになります。

 

このプロジェクトにおける建物クオリティは判然としません。筆者は現在もMASTERI TAHO DIEN、AN PHUを賃貸管理していることもあり、明言は避けたいと思いますが、管理体制、修繕、手直し、構造的なところも含め、いろいろと懸念している部分があります。MASTERI物件は比較的日本人も多く購入しているため、実際に購入した方や居住している方の意見を聞きながら対応するといいでしょう。

賃貸は実質利回り4%程度、売却益は1.3倍程度か

 ●賃貸利回り 

 

★平米単価

12,000米ドルで、1bed、50m2を購入した場合(家賃想定2,000米ドル)

12,000$×50m2=600,000$

⇒ 6,540万円(1$=109円換算。付加価値税10%、修繕費2%別)

 

★内装工事

平米単価300$=300$×50m2=15,000$

⇒ 165万円(家具家電付)

 

★その他手数料仲介費用

3%=600,000$×3%=18,000$

⇒ 196万円 

 

★利回り

24,000$(年間家賃)÷633,000$(建物総額)×100=3.79%

⇒ ベトナム投資での利回り4%弱をどう考えるか。

 

 ●売却益 

 

現在までの周辺の取引状況を踏まえると、2018年の一時期、中古の転売価格が急騰した際のVINHOME「Central Park」の外国人権利物件は、平米単価4,000米ドル、ベトナム人向けは平米単価3,500米ドルと、1.5~2倍に急騰しました。Golden Riverも、2018年時点は平米単価6,000米ドル程度で、約1.5倍です。従って、駅が開通してからの期待値にはなりますが、平米単価1万2,000米ドルから、1万5,000~1万6,000米ドル程度のおよそ1.3倍の値上がりが予想されます。

 

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