相続発生時に遺産を巡って親族が争う「争続」という言葉は、すでに周知されているのではないでしょうか。しかし、相続バトルは相続が発生してから生じるものではなく、発生が予想される段階から、水面下ですでに繰り広げられているのです。本記事では、相続問題を幅広く扱う山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が「相続バトルの種」とその除去方法について、事例をもとに解説します。

争続バトルの前哨戦としての「遺言書作成バトル」

高齢の父親は長年にわたり、長男夫婦と実家で同居して介護を受けていたのですが、亡くなる10ヵ月ほど前から重度の介護が必要となったため、施設に入所することになりました。ところが入所させる段になると、結婚して家を出ている長女と次女が「私たちが父の世話をするから」と前に出て、長男夫婦が関わることが難しくなってしまったのです。

 

そんななか、長男が知らないうちに施設のベッドに専門家を呼び、遺言書を作成していたというのです。うがった見方かもしれませんが、高齢で判断能力の落ちている方の相続をめぐり、遺産争いバトルならぬ「遺言書作成バトル」が繰り広げられていたと思わずにいられません。

 

2つの遺言書を巡るトラブルについて、裁判所は新しい遺言書が有効と判断し、結局遺産は3分割されることとなりました。しかし、長年父親と同居し、亡くなる数年前からは献身的な介護をしてきた長男夫婦は気持ちが収まらないようで、その後、妹たちとはすっかり疎遠になってしまいました。

 

とはいえ最初の遺言書は、長男に自宅と収益不動産のすべてを相続させるという偏った内容であり、作り直された遺言書は「子ども3人で3等分」という穏便な内容となっていました。しかし、もしこれが「長女・次女に遺留分を除くすべての相続財産を渡す」といった内容だったら、本当に怖いバトルとなっていたことでしょう。

 

この手の話は、相続の相談を受けていると非常に多く遭遇します。争続バトルの前哨戦として、遺言書作成バトルが行われることは珍しくないのです。遺言書は作成して終わりではありません。相続関係に強い専門家にアドバイスを受け、抜かりない対策が必要なのです。

 

 

(※守秘義務の関係上、実際の事例から変更している部分があります。)

 

山村法律事務所

代表弁護士 山村 暢彦

 

 

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