私たちは「糖質過多な生活」に慣れ過ぎている
日本糖尿病学会では、「カロリーの総摂取量を制限せずに、炭水化物(糖質)のみを極端に制限して減量を図ることは、長期的な食事療法の安全性などがはっきりしていないことから、現時点では勧められない」とコメントしています。
糖質制限の是非については、いまだ専門家の間で議論されています。糖質の過剰摂取が有害であることについては一定のコンセンサスは得られていますが、具体的にどの程度の糖質摂取が望ましいかは、今後科学的な検証が待たれることでしょう。
そのような議論はさておき、現代人の食生活が、糖質過多に陥りやすい傾向にあることは間違いありません。
実際、コンビニに行けば、おにぎり、サンドイッチにスナック菓子、パスタ…おいしそうなデザートも並んでいます。街を歩けば、うどん、そば、ラーメン、牛丼にハンバーガーにタピオカ、コンビニもファストフード店も、手軽に糖質が手に入る環境になっており、現代人の生活環境そのものがそもそも糖質過多を助長する傾向にあるのです。
我々が、健康的で当たり前と思っている食事バランスも、厚生労働省の指針などが理想のバランスと信じられてきましたが、実はそれが、糖質に偏り、太りやすい原因にもなっていると筆者は考えています。
私たちは糖質過多に慣れ過ぎた「当たり前」の食生活を、変えていく必要があります。糖質は私たちにとって安価で容易に手に入るエネルギー源ですが、糖質には依存性、中毒性があるといわれています。
普段からこんなにもたくさんの糖質を口にできる機会がある現代人は、知らず知らずのうちに糖質中毒、糖質依存症となっている可能性があるのです。そんな状態で厳格な糖質制限をしても、なかなか継続できません。
実際に、筆者のクリニックに相談に来られる方には「糖質制限ダイエットをしたが、うまくいかなかった」という声も多いのです。しかし、減量を望むのなら、この「糖質制限」という考え方や方向性自体は間違っていないことがほとんどです。
にもかかわらずうまくいかなかったのは、何かほかにも理由があるはずで、それをよく考える必要があります。
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