前回は、「不動産パンフレット」の見方について解説しました。今回は、一見魅力的なマンションの「最新設備」について、その必要性を改めて考えてみます。

最新設備が充実したモデルルームで「憧れ」を引き出す

マンションの広告ではよく「便利」という言葉が使われます。立地によるアクセスのよさもありますが、その言葉が意味するものの中には、浴室換気乾燥機や食器洗浄乾燥機などといった住宅設備類が多く含まれています。

 

そして、モデルルームへ行くと、こうした設備類の丁寧な説明が延々と続くこともめずらしくありません。しかし、これもいささか疑問に感じます。

 

確かに、こうした設備があれば雨の日の洗濯も気兼ねなくできますし、食後の片付けが省力化できる。そのような便利な暮らしは、時間も作れてうれしい話です。しかし、付加された住宅設備による便利な生活を、そのまま快適な住み心地に結び付けるのはマンションを購入するという視点では安易すぎます。

 

たとえば、今どき、エアコンのない生活は考えられません。寝苦しい熱帯夜では、エアコンがないと眠れないこともしばしばです。そこで仕方なく夜通しエアコンをつけるのですが、翌朝になると、体がだるい、肩が張る、喉が痛いなど、不調を感じるのは、誰もが経験していることでしょう。

 

エアコンをつけている時は確かに快適ですが、翌朝の状態を考えると快適とは言えず、それをもって住み心地がよいとはとうてい言えません。まして、冷え性の人ならば、エアコンの冷風で具合が悪くなることもあるでしょう。

 

その意味では、スイッチひとつでその場の室温は下げられますが、それは即ち快適な住み心地にはつながらないという気付きが必要です。

 

設備はあるに越したことはないですが、便利=快適な暮らしは思い込みであり、設備に頼りすぎなくて済む工夫が、設計されていることがマンションを選ぶ時の重要な視点になるのです。

床暖房、浴室乾燥機・・・使われなくなる理由とは?

また、購入前にはあれば快適だろうと思っていたものの、実際に入居してみたら、不要だったという設備も多くあります。

 

ここ何年かで一般化した床暖房は、使われなくなる設備ナンバーワンとも言われています。光熱費が想像していた以上にかかるというのが主な理由のようですが、断熱効果の高いマンションでは冬でも陽光が入る間取りの場合、必要ないなどの理由もあります。

 

つまり、同じ面積なら住戸の奥行きが短くなり、部屋の奥まで日差しが届くワイドスパンのような設計を選定することの方が重要です。

 

また、浴室換気乾燥機は確かに梅雨時など、洗濯物を外に干せない時期には便利です。しかし、裏を返せば、その時期しか役に立たないとも言えます。

 

 

子どもを持つ親は、やはり衣類は日に当てて干したいと考える人が多いようです。日光に当てれば消毒になり、健康によいのはもちろん、何より気持ちがよい。ですから、浴室換気乾燥機より、突然の雨など気にしない深い庇ひさしがあり、洗濯物が安心して干せるという基本的な設計や常識的な建物の高さを選定することの方が重要なのです。

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    本連載は、2011年3月23日刊行の書籍『本物マンション購入計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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