相続はお金持ちだけに関係がある話。そう思っている人は多いようだ。しかし実際は違う。亡くなった人に多少でも預金があったり、家や土地があったりすれば、財産の多寡にかかわらず、相続は発生する。このエピソードの相談者は、3兄弟の長男である。父親が他界し、当初は母親が預金と家を相続するはずだった。しかし、次男が遺産の半分以上を欲しいと願い出る。結果、長男は精神的にも経済的にも大きな負担を抱え込み、兄弟がバラバラになってしまった。※本記事では、税理士の髙野眞弓氏が、自身の経験もとにした「争族エピソード」を紹介する。

相続財産で外車を購入…問題はさらに複雑化

私はいまいち理解できなかった。他の家と競うならともかく、家庭内で見栄を張ってもしょうがないだろうと思ったからだ。

 

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「あとは、車ですね」ダンディーさんが言う。

 

「車、ですか」「ええ。次男はずっと国産の中古車に乗っていたのですが、奥さんが相続したお金で新車に買い替えたんです」「高い車ですか」「そう思います。外車ですからね。次男も、最初は車なんかいらないって言っていたのですが、まんざらでもなさそうでした。自分は車をもらった。手ぶらでは帰れない。そういう思いもあるのだと思います」

 

「もしかして、奥さんも見栄を張る人なのですか?」「どちらかというと、そうですね。裕福な家に育ったこともあり、プライドが高いのでしょう。外車にしたのも、ご近所さんや友達の目を気にしたのだと思います。その点でみれば、似た者夫婦です」長男はそう言って笑った。

 

問題の全景が見えたような気がした。1000万円欲しいというのは、次男の要望であると同時に、次男の妻の要望でもあるのだろう。妻の親が亡くなり、相続でまとまったお金が手に入ったことにより、夫婦はちょっとした贅沢を味わった。外車に乗ったりすることで自己満足を得て、それが快感になった。だから、今回ももらえるものはしっかりもらいたい。夫婦の間でそういう意思が固まったのだろうと思った。

 

それからしばらくの間、ダンディーさんから連絡はなかった。「この間のダンディーさん、あれからどうなったんでしょうかね」スタッフが聞く。「さあねえ。頑張って次男を説得したんじゃないのかい? 見栄を張ろうにも、お金がなければ仕方がないから」「そうですね」私たちはそう思っていた。

 

しかし、実際は違った。久しぶりにダンディーさんから電話があり、私は問題がさらに複雑化していることを知った。「もう一度会って相談したい」電話口でダンディーさんが言う。私は何かあったのだろうと察し、早速事務所に来てもらうことにした。

 

「先生、例の相続の件なんですが」事務所の椅子に座るやいなや、長男が切り出した。「うまくまとまりましたか?」「いえ、それが困ったことになりまして」長男が口ごもる。

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炎上する相続

炎上する相続

髙野 眞弓

幻冬舎メディアコンサルティング

裁判沙汰になったトラブルの3割が遺産総額1000万円以下⁉︎ 「ウチは大丈夫」と思ったら大間違い! 6つの炎上エピソードから学ぶ「円満相続」の秘訣 相続でもめたあげく、兄弟姉妹が憎しみ合い、絶縁状態になってしまうこ…

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