今回は、クリニックの開業に際し、会計士や取引業者を選ぶポイントを見ていきます。※本連載は、中内眼科クリニック・院長の中内一揚氏の著書、『これから開業する君へ』(兵田印刷工芸株式会社)の中から一部を抜粋し、クリニック開業の1年前に始めておくべきことをご紹介します。

信頼できる、自分とウマの合う人を探す

医院の経営は、勤務医の仕事とはかなり異なります。自分が判断を迷ったときに誰に相談しますか? 診療上のことならば、同僚や先輩に、院内のレイアウトやスタッフのことならば、奥さんに、医院の宣伝や機器購入、往診車の買い替えなどの大きな出費のとき、また雇用に関する相談、給料に関する疑義が生じたときは、私は会計士に相談しています。きっと、前院長もそうだったと思います。

 

なので、私がお勧めするのは、信頼できる、自分とウマの合う人を探すということです。医師の家庭で育った人であれば、確定申告のときに親が仕事を任せている会計士や、そのグループの担当者を紹介してもらったりすることがあるでしょう。少し探せば同級生やその知り合いに一人ぐらいはいるでしょう。問題は、前院長の会計士をそのまま引き継いでしまうことです。

 

一見、前のことをよくわかっていて便利なように思いますが、経営においては、親子であっても、あまり腹の内を見せたくないものです。新しい医院を始めるのですから、「なあなあの関係」や「古いしがらみ 」は、できる限り排除しましょう。

 

それから、前院長と自分との契約書を交わす日も来ますから、その書類がきちんと準備できるくらいの能力のある人、またはグループを選ぶのは当然のことです。

機器メーカーの担当者は、勤務医時代から目星をつける

手術をする医院には、かなり多くの機械があります。手術をしていなくても、診察の機械は数台あるいは10台を超えて持っている医院もあります。これらは、地域に根差した機器メーカーの担当者が扱っています。病院勤務のときに、ここぞと思う担当者と出会ったら、その人と飲みに行ったりして、どのくらいまで任せられるかを確認します。

 

当院は、3社と交流がありますが、棲み分けをしています。眼科機械関係はK社、針糸や消耗品、ユニフォーム関係はR社、形成外科関係はM社となっています。会社によって得意分野、不得意分野があるので、それぞれに担当者がつくのも仕方ないのですが、ときどき発注のときに混乱してしまうので、本当は2社くらいのほうがいいのかもしれません。

 

通販会社とのやりとりもあります。アスクル、アマゾン、保険医協会、歯愛メディカルなど安い値段で、消耗品を扱っている会社があり、ときどき値段につられて、購入してしまうのですが、結局、次回発注のときにどこに頼んだかわからなくなることもあるので、1回きりの買い物の時には通販でもいいですが、頻繁に注文する物は(ガーゼやテープなど)、できるだけ営業担当者のいる会社でお願いすることがいいと思います。院長の手間が減ります。

 

開業直前になると、2、3の薬問屋が挨拶にやってきます。それから決めてもいいのですが、開業支援に尽力してくれたチームを持っている問屋さんをメインに据えるべきでしょう。

 

すべて院内処方をされる医院では、扱う薬は大量になり、仕入れ値を比較することもできると思いますが、現在のように院外処方がメインになり、院内に置く薬は、検査や手術時に使う薬のみという医院では、1つのところに決めて、なんでもそこに注文すれば手に入るというシステムにしたほうが、院長および発注をするスタッフが混乱しなくて済みます。

これから開業する君へ 新装版

これから開業する君へ 新装版

中内 一揚

兵田印刷工芸 出版部

眼科診療所を継承した著者による開業解説本。診療所を事業継承する際の注意点や、継承準備の詳細が記されている。 開業を支援するコンサルタントや新規開業した医師による開業解説本は多いが、昨今増加している継承に関する解…

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