フィリピンを舞台とする、新しい形の会員制コミュニティ「GATE of ASSETS 財団」が注目を集めている。本稿では、この財団の会員のみがリーチできる「投資と保全」の最新情報について、ハロハロアライアンス・ディレクターで「GATE of ASSETS 財団」の常任理事である鈴木廣政氏を中心に、現地情報に精通した方たちに紹介していただく。今回は、ハロハロホーム・フィリピン現地法人のエグゼクティブ・ディレクターの日高拓郎氏に、フィリピンで不動産投資をする上での注意点などを伺った。

プレビルドは高値・・・現状のおすすめは転売or中古物件

―― 現在は、どんなお仕事をなさっているのでしょうか。

 

日高 現地法人のトップとして、会社全体を統括しています。また、日本からのツアーのご案内も担当しており、年間350~400組くらいのお客様にフィリピンをご案内しています。最近では、現地で事業をする方のサポート、たとえばシェアオフィスのご紹介や、現地での法人設立のお手伝いなどもさせていただいております。

 

―― プレイングマネージャーとして、顧客対応と現地スタッフマネジメントの両方を担当されているわけですね。現地スタッフさんの働きぶりはどうでしょうか。

 

日高 みんな優秀ですよ。それに基本的に人柄が明るいので、気持ちよく働いてくれます。日本人のように「あうんの呼吸」で、言わなくても進めてくれるといったことは難しいですが、このあたりは文化の違いですね。しかし、こちらがきちんと仕事の目的と内容を説明し、理解してくれれば、やるべきことをきっちりやってくれます。

 

―― フィリピン経済の現況や見通しについては、どうお考えですか?

 

日高 今年いよいよ、日本の円借款ODAによるマニラの地下鉄計画が始まりますが、この計画に見られるように、インフラ整備がものすごいスピードで進んでおり、急速な経済成長を実感しています。ドゥテルテ政権のインフラ整備予算は、アキノ政権時代の3倍くらいになっているでしょう。

 

また、今まで、フィリピン経済の諸悪の根源は、汚職と麻薬でした。ご存知のようにドゥテルテ政権はそこに大胆にメスをいれており、実際にかなり改善されてきています。残りの4年の任期でその改革がどこまで進められるかにもよりますが、経済の透明性が上がることで、グローバルな資本流入も進むのではないかと考えています。

 

―― 不動産投資も魅力的だということでしょうか。

 

日高 長期的にはそうだと思っています。ただ、投資を検討されているお客様から「何倍になるの?」といったことをよく聞かれるのですが、短期的に何倍にもなるといったバブル的な値上がりがあるかどうかと言えば、正直、その可能性は低いと考えています。

 

というのも、ここ3年で不動産の価格がかなり上がってしまっているからです。実際、中国系の投資資金がかなり入ってきており、財政当局も海外から購入できる物件数量に規制を設けるなどして、不動産バブルが起こらないように注意しています。

 

もちろん、人口ピラミッドがきれいな三角形ですから、長期的には安定的に不動産価格の上昇は続くと見ていますが。

 

―― 新築プレビルド物件の値段は、かなり上がってしまったということですね。

 

日高 少なくも、私たちが拠点を構えるマカティ、グローバルシティのエリアについては、プレビルドの物件は「高値掴み」になりかねないので、直近ではほぼ取り扱っていません。いまは、発売開始後の転売物件、あるいは中古物件を中心に取り扱い、インテリアを入れて売る手法にシフトしています。そういった物件は、たとえばベトナムやタイ、カンボジアといった周辺国に比べて、円評価での価格がだいぶ低くて、買いやすい水準にあることが、フィリピン不動産の魅力だと思います。

 

 

現地に行けば、必ず「印象が変わる」フィリピン

―― 年間350~400人くらいのお客様をツアーでご案内されているとのことですが、実際にフィリピンを訪れるお客様から聞く声としては、どんなものが多いでしょうか。

 

日高 正直に申しまして、ツアー前はフィリピンについて「危険」「汚い」といったネガティブなイメージを持たれている方が大半です。

 

ところが実際には、私たちがいるマカティは、日本で言えば大手町のような雰囲気の街ですし、グローバルシティは職住近接で学校も多い近代都市で、女性が普通に夜中に1人歩きできるくらい安全です。そういう街では、高所得層がたくさんいて、高価な食事をばんばん食べて、エネルギッシュに働いています。いわゆる「アジアの発展途上国」というイメージはまったく当てはまりません。また、フィリピン人は非常に親日的なので、日本人と知ると、とても親切にしてくれます。

 

そういわけで、ツアー後には、ほとんどの方がツアー前とは180度変わって、「綺麗」「治安がいい」「親切」といったポジティブな感想を述べられます。

 

―― 行ってみないとわからないものなのですね。

 

日高 ええ。街の空気感とか人々の雰囲気といったものは、実際に現地に行って肌で感じないと絶対にわからないと思います。

 

ハロハロホーム 日高拓郎氏
ハロハロホーム 日高拓郎氏

また、ビジネスや投資をする上での、いわゆる「いい情報」も、現地に行って、あちらの不動産オーナーや販売員と対面で話をしないと絶対に教えてくれません。逆に言えば、現地に行って人に会えば、それだけの情報的なメリットが得られることも多いんです。

 

そういう点でも、フィリピン投資に興味があるなら、絶対に現地に行って自分の目で確かめて、可能な限り現地の人たちと話してみることをお勧めします。私たちのような、日本人向けのサポートサービスをしている同業者も、フィリピンにはたくさんいますから、そういう現地業者から話を聞いてみるのもいいと思います。

 

―― 国自体へのイメージとは別に、フィリピン不動産投資には、「投資詐欺」といったイメージでの危惧される方もいますが。

 

日高 トラブルになる案件では、本当に最初から詐欺を目的とした犯罪もあります。これは問題外です。しかしその一方で、別に犯罪的な要素はなく、単に国情や文化の違いで、日本なら確実に進むであろう事務手続きなどが遅々として進まないときに「だまされた」「詐欺だ」と言われているようなケースも、少なからずあるようです。

 

たとえば、現地会社で契約時の担当者が突然退職してしまって、その引継ぎがうまくいかないということがあります。あるいは書類を紛失してしまったり。日本人の感覚だと、「そっちの事情はあるだけろうけど、おたくの会社に任せたんだから、ちゃんとやってよ」というのが当たり前ですよね。でも、フィリピンではそれが通用しないことが多いのです。手続きなどが進んでいるのかを投資家が自分でいちいち確認して、進んでいなければやらせる、みたいなことも必要になります。日本の会社に対するときのような「おまかせ」ではだめなんです。

 

海外に住むようになるとわかりますが、日本ってすごい国ですよ。いろんな手続きとか、アフターフォローとか、こんなにきっちり進む国は、たぶん他にない。ある意味、日本が特殊なんです。それと同じような感覚を他の国で求めても、無理だということです。だからこそ日本と現地の両方の事情がわかる私たちが間に立って、そこをサポートさせていただく意味があると思っています。