今回は、「知名度がまだ低い小売業」の見つけ方を取り上げます。※本連載では、株式会社リーブル 代表取締役・坂本彰氏の著書、『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「小売お宝株」の魅力を解説していきます。

大型株と比べ「小型株」のリターンは高くなる傾向に

前回の続きです。

 

条件③知名度が低いこと

 

ここで重要な事実をお伝えします。それは、知名度の高い有名企業への投資よりも、聞いたことがないような会社への投資のほうが運用成績は高くなるということです。

 

投資の世界では、過去の膨大なデータを調べてみると、合理的な理由はわからないもののある種の傾向が出てくることがあります。これをアノマリーといいます。代表的なものに「曜日効果」があります。これは、特定の曜日のリターン(上昇率)が他の曜日に比べて、なぜか高いという現象です。アメリカでは金曜日のリターンが高く、月曜日のリターンが低いといわれています。ちなみに日本では、火曜日のリターンが低いという報告があります。

 

このアノマリーのなかで、注目してほしいのが、規模効果(サイズ効果ともいいます)とバリュー株効果というものです。規模効果とは、「企業規模の大きい会社(大型株)よりも、規模の小さい企業(小型株)のほうがリターンは高くなる」傾向のこと、バリュー株効果とは、「低いPERの株式は高いPERの株式に比べてリターンが上がる」傾向のことです。

 

この2つの効果は投資信託などのパフォーマンスを評価する際にもよく用いられていますが、知名度が低く、割安な株を探すことは、規模効果とバリュー株効果の恩恵を受けやすいといえるのです。

 

「利益2倍・株価4倍」の法則が当てはまる条件①〜③をまとめると、あなたが狙うべき株式は、下記図表1の左下の部分になります。

 

[図表1]規模効果とバリュー株効果

まだ全国区ではない「地方で有名なお店」を狙う

では、知名度が低い小売業の見つけ方はどうすればいいのか? これは簡単です。株の知識を持たない友人に会社名を言ってみて、それがどんな会社であるかわかるようであれば有名企業、「何の会社?」と聞き返されるようであれば、これから知名度が上がっていくチャンスがある会社だと判断できます。

 

たとえば、「マクドナルド(2702)の株を持っている」と言ったとしましょう。ほぼ全員が何をしている会社なのかがわかるはずです。しかし、「物語コーポレーション(3097)の株を持っている」と言っても、「あの会社ね」という返事はまず返ってこないでしょう。相手がよほど株にくわしくないかぎり、「それって何をしている会社なの?」と聞き返されるはずです。

 

上場したばかりの小売業の会社は、100店舗以下という場合もあります。この段階では全国区ということは稀で、「地方で有名なお店」という程度です。300店舗ぐらいまで増えてもまだまだ成長余地はあり、500店舗でようやく全国区という感じです。これくらいの規模になるとテレビCMで露出する機会を増やすため、知名度も上がっていきます。そして1000店舗になる頃には、知名度の高い企業へと成長しています。ぜひ、「地方で有名なお店」を狙うように意識をしてみてください。

 

[図表2]会社の成長段階と狙うべきポイント

本連載は、2016年12月10日刊行の書籍『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「小売お宝株」だけで1億円儲ける法

「小売お宝株」だけで1億円儲ける法

坂本 彰

日本実業出版社

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