本記事のポイント
・株価が高く、売れる局面では売っておくのが得策
ファンダメンタルズが悪いときに株価も冴えないのは当然
TOPIXベースで半数近くの企業が決算発表を終えた現在、その根拠がようやく目に見える形になってきた。グラフは日経平均の予想EPS(1株当たり純利益)と日経平均株価の推移を示したものである。
予想EPSは3月早々にピークをつけ、株価のピークは3月22日につけた4万888円だ。予想利益が先行する恰好でピークアウトして、株価がそれを追って目先の天井を打ち、それ以降は右肩下がりの展開となってきた。日本企業の利益見通しが低下基調となるのに平仄を合わせて株価も弱含んでいるのが見て取れる。きわめて真っ当な株価の足取りである。
だから筆者はこの流れを悪いことだとは思っていない。ファンダメンタルズが悪いときに株価も冴えないのは当然である。この状況でむやみやたらに株価が上昇したりするとすれば、そちらのほうが不自然であり不健全な株高ということになるだろう。下がるときには素直に下がる。休むも相場だ。ここでちゃんと調整しておけば、次の上昇サイクルではしっかりとupward(上向き) の流れに乗れるだろう。ここは堪えどきと思うべき局面である。
株価が高く、売れる局面では売っておくのが得策
では、いつ反転のきっかけをつかめるだろうか?
5月22日のエヌビディア[NVDA]の決算に期待する声が多い。しかし、過度な期待は慎んだほうがよい。エヌビディアの決算はおそらく良好なものになるだろう。だが、投資家の高い期待を超えるほどのものが出なければ株価は売られる可能性が高い。そして投資家の期待が相当高くなっているいま、それを超えるのは難しいのではないか。
よって投資スタンスとしては慎重姿勢を維持したい。株価が高く、売れる局面では売っておくのが得策と考える。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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