建物知識のない不動産会社を「窓口」にすると…

二つ目は、物件探しを依頼する不動産会社から紹介してもらったリフォーム会社のケースである。物件探しを依頼していた不動産会社の担当者はとても親切だった。スムーズに物件も見つかったタイミングで、「良いリフォーム屋さんを紹介します」といわれて、商談に入った。

この場合は、リフォーム会社はあくまでも不動産会社の下請け的なポジションになるので、前記のパターンに比べればスムーズに進むことになる。

物件の契約までに一度だけリフォーム会社と商談し「とりあえず住宅ローンの審査のために見積もりを出してもらいましょう」ということで見積もりを出してもらう。総予算が決まったところで物件の契約が完了した。

問題はここからだ。物件の契約が終わった日以降のリフォーム会社との打ち合わせには「私はリフォームの専門ではないので、直接話してもらった方がスムーズですから」と、不動産会社の営業担当者は一度も同席しなかった。打ち合わせを数回重ねていくうちにリフォーム担当者との相性も徐々に合わなくなり、(不動産会社の)営業担当者への不信感も相まって、

「すいませんが、別のリフォーム会社とも相談して良いですか?」と話した。

すると、その担当者からは、

「もちろん構いませんけど、物件の引渡しまでにはどこでやるか確定してもらわないと困りますので、気をつけてください」

そういわれ、慌てて数社に打ち合わせることになった。ところが、ここでリフォーム金額について、新たな相談先から、「こんな金額ではできません」と、驚きの言葉が帰ってくる。

最初に相談した不動産会社の営業担当者を通じて出てきた見積もりが約300万円だったが、他のリフォーム会社のいずれも500万円以下ではできないというのだ。どうやら、依頼者の要望を聞いて見積もった最初のリフォーム会社は間に入っていた営業担当者のいう通りに、最低限の金額で仕様や施工法を計画していたようだ。ただし、依頼者が本当に望むリフォームとは遠くかけ離れた内容だったのである。

このケースで重要なことは、一度の打ち合わせで伝えた要望で予算を組み立ててしまったこと、そして依頼者の要望を引き出すことよりも物件の契約が大事な不動産会社が取り仕切ったことにある。まさに建物の知識のない不動産会社を窓口としたデメリットが出てしまったケースといえる。

出所:『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より抜粋
[図表2]不動産会社に紹介されたリフォーム会社
下請け的言動に注意が必要だった
出所:『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より抜粋