(※画像はイメージです/PIXTA)

投資による利益が非課税となる「NISA(少額投資非課税制度)」。2024年1月から、旧NISAから進化した新NISAがスタートしました。新制度では、非課税投資枠の拡大や非課税保有期間の無期限化などが図られ、より長期的な非課税投資ができるようになりました。本記事では、旧NISAとの違いや注意すべきポイントを、税理士兼CFPである西原会計事務所代表の西原憲一氏が解説します。

NISAのデメリット

続いて、新NISAと旧NISAで共通するデメリット、新NISAと比べて旧NISAのほうがデメリットが大きい点についてまとめます。

 

新NISA・旧NISA共通

●損益通算ができない

複数の課税口座において取引をしていて、その年に利益が出た口座と損失が出た口座がある場合、利益と損失を合算して相殺する「損益通算」ができます。

 

たとえば、A口座で100万円の利益、B口座で80万円の損失が出たとき、これらを相殺すれば純利益(損益通算後の譲渡所得)は20万円となるので、結果的にその分税負担を減らすことができます。

 

しかしながらNISA口座内で取引した投資損益は、他の課税口座(特定口座や一般口座)と相殺(つまり損益通算)をすることができません。

 

●損失の繰越控除ができない

課税口座内で一定の金融商品を売却して損失が出た場合、または損益通算をしても相殺しきれなかった金額がある場合に、その損失を翌年以降最長3年間繰り越して、それぞれの年の利益と相殺することができます。

 

これを「損失の繰越控除」といい、翌年以降の投資利益に対する税負担を軽くすることができる制度です。

 

ちなみに、繰越控除は損失が生じた年より確定申告をすることが要件になっています。一方、NISA口座内で取引した利益は非課税なので、損失に対しても課税関係を生じさせないという前提から、繰越控除の制度を適用することができません。

 

旧NISAのデメリット(新NISAとの比較において)

●NISA枠の年度を超えた繰り越しはできない

旧NISAは、年間投資枠(つみたてNISA 40万円、一般NISA 120万円)に使い残しがあったとしても、翌年に繰り越せないというルールです。

 

たとえば2023年に一般NISAにおいて新規の投資額が100万円であった場合、残りの20万円は翌年以降に繰り越すことができずに消滅します。なお、旧NISAの新規投資は2023年末まで。どのみち使い残しは繰り越せません。

 

一方、新NISAも年間投資枠の使い残しを翌年に繰り越せませんが、非課税保有期間が無期限であることから、非課税保有限度額(生涯投資枠)に達するまでは、その年の使い残しを将来において取り戻すことができます。

 

●つみたてNISAと一般NISAの併用はできない

旧NISAの口座は1人1口座のみ。つみたてNISAと一般NISAを併用することはできません。 それぞれの仕組みをよく理解し、口座を開設する際に自分の投資方針に合った制度を選択しなければなりません。

 

一方、新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠が併用でき、そして成長投資枠においても投資信託の積立投資をすることができるので、非課税投資のバリエーションが増えるといえます。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。