(※写真はイメージです/PIXTA)

九州地方を地盤とし、全国で毎年100店舗以上の新規出店を続けるドラッグストア、コスモス薬品。ここまでの成長を遂げてきた要因には、4つのビジネス戦略とドラッグストアの三本柱が挙げられます。どのようなものなのか、またそこから導き出された新規開業クリニックの差別化戦略を本記事でご紹介します。本連載は、コスモス薬品Webサイトからの転載記事です。

小商圏での圧倒的シェア獲得を目指す4つのビジネス戦略

コスモス薬品は、1973年2月に宮崎県延岡市で創業し、九州を地盤としながら少しずつ東へ店舗網を拡大して参りました。2023年6月現在、全国で1372店舗を展開しており、毎年100店舗以上の新規出店を続けて参ります。

 

 

M&Aを一切行わずここまで成長を続けて参りましたが、そのビジネス戦略として4つの方法をとっています。

 

①小商圏型メガドラッグストア

小商圏とは、商圏人口1万人という小さな商圏のことです。小商圏には食品スーパーや小商圏型ディスカウントストア、コンビニエンスストア、500平米型ドラッグストアあたりが競合になりますが、1万人の商圏人口でメガドラッグストアを成立させるため、1日の来客数が多くなる仕掛けを考案しています。

 

小売業では、「大きな商圏に大きな店舗、小さな商圏には小さな店舗」というのが一般的な考え方です。しかし私たちは、小さな商圏にできるだけ大きな規模の店舗を展開しています。そこでは、医薬品や化粧品だけでなく、日用雑貨、生鮮三品(成果、精肉、鮮魚)以外の一般食品等の日常消耗品を満載することで、非常に便利の良い店舗を作り上げています。このように小商圏の中で最も便利の良い店舗をつくることで、その小商圏内で圧倒的なシェアを獲得することを目指しています。

 

②高密度ドミナント戦略

コンビニエンスストアと同様、特定地域に集中的に店舗を展開するドミナント戦略をとっています。1kmから2kmの圏内に大型店を高密度に展開し、小商圏内を面で埋め尽くすことで、圧倒的なシェアを獲得することを目指しています。このように同一エリアへ集中的に出店することにより、配送コストの低減化や販売促進コストの削減というメリットもあります。そしてインクがじわじわ染み出すように少しずつ、強力な店舗網を拡大しています。

 

③毎日が低価! Everyday Low Price戦略

「Everyday Low Price」戦略といって、日替わりや時間帯別の特売は行わず、常に良い商品を1円でも安く提供することに努めています。いつお店に行っても同じ安い価格で安心してお買物ができることが、地域のお客様からの信頼につながると考えております。また、このEDLP戦略の為に、あらゆるコストを可能な限り抑制する企業努力を重ね、業界トップの販売管理費率の低さを実現しています。

 

④極めて感じの良い応対

公益財団法人日本生産性本部が毎年実施する日本最大級の顧客満足度調査のドラッグストア部門において、私どもは12年連続第1位の評価をいただいております。もちろん価格については「Everyday Low Price」戦略のもと、良い商品を1円でも安い価格で提供させていただいておりますが、だからといって接遇に手を抜くことはありません。

 

広い店内にたくさんの商品を並べ、お客様が自由に歩き回って欲しい商品を探す「セルフセレクション」を基本としますが、品数が多いと、なかには何を選べば良いのか迷われるお客様もいらっしゃいます。そのようなお客様には、的確なアドバイス「ライトカウンセリング」をさせていただいております。このように専門知識を有したスタッフの育成と真心の応対にも注力しています。

 

ドラッグストアの「三本柱」

また、ドラッグストアがお客様にサービスを提供させていただく際の三本柱として、「ディスカウント」「コンビニエンス」「スペシャリティ」が重要です。私どもはこの3要素を高い次元に保ったサービス提供を追求しています。

 

「ディスカウント」については前述したように、「Everyday Low Price」を掲げ、日々より良い商品をより安い価格で提供させていただいております。

 

「コンビニエンス」としては、高密度ドミナント戦略により、どの店舗もコンビニ並の身近さで出店しており、かつ広大な駐車場を完備しております。広大な駐車場と言っても、大型商業施設のように、ともすれば店舗から離れた場所しか空いていない、駐車できる場所を探すのにも時間がかかるといったものではなく、ストレスなく店舗のそばに駐車できるよう、ゆとりある設計をしております。

 

また、さまざまな日常消耗品を品揃えしており、一箇所で欲しいものが揃うワンストップショッピングを提供しています。そして、それらの商品を見つけやすい・買いやすい売場を作り上げることで、ショートタイムショッピングの実現も図っています。このように時間の節約につながる利便性を提供しているのです。

 

そして「スペシャリティ」、つまり専門性としては、医薬品の販売資格である医薬品登録販売者の育成に注力しており、専門知識を有する優秀な登録販売者がお客様に対するきめ細かな情報提供を実践しています。また接遇面において、「極めて感じの良い応対」に力を入れることで、顧客満足度調査12年連続第1位の評価をいただいております。

 

自社戦略をもとにクリニックの開業を支援

こうしたコスモス薬品の戦略などを踏まえたうえで、私どもは患者様の利便性を重視したコスモス併設となるクリニック開業物件を提供し、そこで開業されるクリニックの開業支援をスタートさせました。ここからは、先ほど触れたドラッグストアの三本柱から、クリニックにおける差別化のポイントを考えます。

 

まず「ディスカウント」については、公的保険制度の観点から、医療サービスにかかった価格を割り引くわけにはいきません(「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第二条の四の二)。そこで勝負のしどころは「コンビニエンス」と「スペシャリティ」の2つになります。

 

クリニックにおける「コンビニエンス」として、「アクセスの良さ」と「診療にかかる時間」の2点が重要です。

 

私どもが提供するコスモス併設型クリニックは、その名の通り、コスモス薬品が運営するドラッグストアの近接地にあります。そのため、地域の患者様のご自宅からも近く、日常生活の動線上に位置することになります。

 

また広大な駐車場が近くにあり、申し分のないアクセスの良さがあると言えます。この点、多くのクリニックは自前で駐車場を用意しなければならず、それには多額の投資が必要になります。

 

評判の良いクリニックのクチコミ等でよく見かけるのは、「ドクターの腕や評判は良いけど、駐車場が狭くていつも満車で困る。」といったものです。新規開業シーンにおいて、開業後どれだけの患者様が来られるかも分からず、駐車場への投資は消極的になりがちであると思います。

 

しかし一方で、地域の患者様に支持され、繁盛すればする程、駐車場のキャパシティによる制約を受けてしまうとも言えます。そのようなタイミングで近場に第二・第三駐車場をうまく設けられれば良いですが、それは時の運です。コスモス併設型クリニックでは、そのような心配はありません。

 

加えて、ドラッグストアが併設されていることで、患者様は、クリニックでの診察、処方されたお薬の受取り、日常のお買物を一箇所ですませることができます(ワンストップ)。

 

また、患者様にとって大きなストレスになるはずのクリニックや薬局での「待ち時間」が、日常のお買物がついでに出来ることで「有効活用できる時間」という大きな利便性に変わるのです。忙しい現代人にとって、この時間の節約という利便性は、大変喜ばれるポイントになるでしょう。

 

そしてクリニックにおける「スペシャリティ」としては、「医師の腕」と「スタッフの感じの良さ」の2点が重要です。「医師の腕」については、言わずもがな。

 

看護師やその他専門職スタッフの医療サービス品質も重要です。そして「スタッフの感じの良さ」についても、受付の事務スタッフ、看護師から診察される医師まで、感じの良い応対を実践されることが重要です。

 

クリニックに対する悪いクチコミとして「受付の感じが悪い」「医師が高圧的」といった内容がしばしば見られます。人の心として、親切丁寧な応対をされるクリニックで継続的に診察を受けたいと思われるのは、至極当然ですね。

 

逆に日頃から不満を感じる応対が繰り返されるクリニックにおいては、何らかの些細なミスが、大きなクレームに発展しやすくなってしまうといったことが考えられます。

 

このように、スタッフの感じの良さは、増患対策としても非常に重要であり、一方で不要なクレーム等のリスク軽減にもつながるのです。コスモス薬品では、「極めて感じの良い応対」に力を入れております。このようなスタッフの接遇応対品質の向上についても、お気軽にご相談頂くことができます。

 

最後に、地域の「かかりつけ医」としての役割を果たされるクリニックでは、上述のような差別化を充実されることが、クチコミ等による集患・増患に直結することになるでしょう。また、競合環境は変化していくものであることも忘れてはいけません。後発で新たな競合先が現れることや、既存の競合先が差別化を図ってくるといったことが想定されます。

 

そのような環境の変化においても、コスモス併設型クリニックであれば、重要な差別化戦略における競合先に対する大きなアドバンテージは、容易に覆ることはないのではないでしょうか。