アメリカでは昨年10月より、中国へのマイクロチップ輸出を規制していますが、さらに規制を強化しようとする動きがみられます。その影響はすでに半導体メーカーに出ているようです。みていきましょう。

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米政府、中国へのマイクロチップ輸出規制強化を計画中

2023年6月28日、米メディアの多くが、アメリカ政府が中国へのマイクロチップ輸出規制を強化しようとしていることを報じました。

 

アメリカ政府による中国へのマイクロチップ輸出規制は22年10月から開始されており、中国企業が最先端のチップやそれを製造する装置を購入するにはライセンスが必要です。またこの規制には、米国人(米国国民およびグリーンカード保有者)が中国の製造施設でチップの開発または生産に関わることも制限しています。

 

急速に技術力を高めている中国ですが、マイクロチップを含む半導体技術においては米国およびその同盟国が圧倒的にリードしています。そのため、中国は大量のチップを輸入しており、2021年には過去最高となる4140億ドル相当のチップを購入しました。これは総輸入額の16%以上に相当する金額で、石油輸入額をも上回っています。

 

報道によると、強化された規制は主に人工知能用のチップを対象としたもので、米政府は中国の軍事技術への牽制であると説明しています。超音速兵器の研究や核兵器のモデリングなど、軍事技術の発展に欠かせない存在となったAIチップ。米政府の説明は筋が通ってはいますが、一方で市場に悪影響も出ています。

規制強化の報道を受け、NVIDIA株価は一時3.2%急落

報道を受け、半導体メーカーの株価は軒並み下落。AI銘柄として急成長を遂げているNVIDIAも、一時3.2%急落しました(その後、やや戻して1.8%安で取引終了)。

 

財務諸表によると、NVIDIAの2022年の売上のうち、中国と香港への輸出が22%を占めていました。同社は規制を回避するために、規制対象外の製品を増産するなどして影響低減に努めてはいますが、付加価値の高い先端チップが販売できないとなると、中国圏での売上が激減することは免れません。

 

同社CFOのコレット・クレス氏は、「当面の重大な影響があるとは予想していない」としつつも、長期的には「米国産業が世界最大の市場の1つで競争しリードする機会が永久に失われ、当社の将来の事業と財務状況に影響を及ぼすことになる」と警戒感をあらわにしました。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。