最期は「思い出の海」に還したい…どこの海でも「散骨」できるのか?“海洋散骨ガイドライン”をもとに解説

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最期は「思い出の海」に還したい…どこの海でも「散骨」できるのか?“海洋散骨ガイドライン”をもとに解説

生活の多様性に伴って、慣習よりも故人らしさを大切にした葬儀が増えています。日本では火葬後に遺骨を埋葬することが通例となっていますが、最近では「故人を故郷の海や思い出の場所に還してあげたい」という想いから、海洋散骨を選択する人も増えています。しかし海洋散骨は、どこの海でも自由に行えるわけではありません。本記事では、日本における海洋散骨のガイドラインをもとに解説していきます。

散骨の際に守るべき「ガイドライン」

法律上、海洋散骨を禁止する規定はありませんが、さまざまなトラブルを避けるためにマナーやルールがあります。

 

たとえば、風に吹かれて一般市民にかかってしまうことを避けるために、適切な場所で海洋散骨する必要があります。また、海洋散骨の際に献花や献酒をされる場合、海洋汚染の原因となる可能性があるため、適切な量を考えるなど環境への配慮が必要になります。

 

散骨のガイドラインとして、厚生労働省が散骨事業者向けに発表している「散骨に関するガイドライン」と日本海洋散骨協会が策定した「日本海洋散骨協会ガイドライン」を参考にしましょう。海洋散骨のルールや手続き、利用者と事業者のあいだで契約を締結することなど、消費者保護の観点なども明文化されています。

 

各ガイドラインの一部をご紹介いたします。

 

【厚生労働省】散骨に関するガイドライン(一部抜粋)

(2) 散骨を行う場所

散骨は、次のような場所で行うこと。

 

① 陸上の場合 あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く)

② 海洋の場合 海岸から一定の距離以上離れた海域(地理条件、利用状況等の実情を 踏まえ適切な距離を設定する。)

 

(3)焼骨の形状

焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。

 

(4)関係者への配慮

散骨事業者は、散骨を行うに当たっては、地域住民、周辺の土地所有者、漁業者等の 関係者の利益、宗教感情等を害することのないよう、十分に配慮すること。

 

(5) 自然環境への配慮

散骨事業者は、散骨を行うに当たっては、プラスチック、ビニール等を原材料とする 副葬品等を投下するなど、自然環境に悪影響を及ぼすような行為は行わないこと。

 

日本海洋散骨協会ガイドライン(一部抜粋)

4 散骨場所の選定義務

(1)加盟事業者は、人が立ち入ることができる陸地から1海里以上離れた海洋上のみで散骨を行い、河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地、海岸・浜辺・防波堤やその近辺での散骨を行ってはいけません。

 

(2)加盟事業者は、散骨のために出航した船舶においてのみ散骨を行い、フェリー・遊覧船・交通船など一般の船客がいる船舶において散骨を行ってはいけません。

 

(3)加盟事業者が海洋上で散骨を行うに際しては、漁場・養殖場・航路を避け、一般の船客から視認されないように努めなければいけません。

 

7 散骨意思の確認義務

加盟事業者が散骨を行うには、官公庁からの依頼の場合を除き、本人の生前の散骨希望意思に基づく申込みまたは葬儀を主宰する権限がある者からの申込みが必要です。本人(故人)の生前の散骨希望意思の確認が取れず、且葬儀の主催者が本人の親族でない場合、加盟事業者は、散骨の申込者に対し、全量散骨を避けるなど適切な助言をするよう努めなければいけません。

 

8 散骨証明書の交付義務

(1)加盟事業者は、遺族から希望があった場合、散骨した場所の緯度・経度を示した散骨証明書を交付しなければいけません。

 

(2)加盟事業者は、散骨証明書の交付申請に備えて、故人の散骨した場所に関する情報を、散骨実施後10年間保管しなければいけません。

 

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