世界最大の人口を誇る中国で、いよいよ人口減少のカウントダウンが始まりました。人口減による経済活動の縮小、その先には世界市場にも大きな影響を与えると懸念されていますが、米国の不動産市場に対してはどうなのでしょうか。考えていきましょう。

中国の人口は2022年がピーク

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2022年7月に国連が発表した「世界人口予測」は、世間を驚かせました。長きに渡って(少なくとも1950年から)、世界で最も人口が多い国であり続けてきた中国が、今年11月に首位の座をインドに譲ることが明らかになったためです。

 

それどころか、一部の統計学者は中国の人口が2022年をピークに減少に転じるとさえ主張しています。最もマイルドな予測を立てている国連は、2022年時点で14億3,000万人いた人口は、2030年までに14億2,000万人へとゆっくりと減少した後さらに減少速度を速め、2078年に10億人を切り、2100年に7億7,000万人になると見立ています。

 

一方、中国出身のウィスコンシン大学の研究員で、中国の出生政策に批判的な考えを示してきたイー・フクシアン氏は、より厳しい見方をしています。彼は、現状の人口発表にそもそも嘘があると考えており、2022年現在の人口は12億7,000万人であるとしています。その人口が、2056年に10億人を切り、2100年には4億4,000万、つまり現在の3分の1になると見ているのです。

 

イー氏が考えるほど激しい凋落ぶりになるかはともかく、中国の人口が頭打ちであることは世界共通の見方のようです。人口増は、中国経済の成長を牽引してきたエンジンでした。そのエンジンが、今まさに止まろうとしています。

人口増という成長エンジンを失うことの意味

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人口増を中国経済の成長のエンジンと呼ぶ理由は以下です。

 

まず、生産年齢人口が常に増加していた、つまり労働者が常に十分に供給されてきたことで、中国企業は人件費を抑えることができ、価格優位性を手にしました。しかし、人口が減ると労働者の数も減るため、企業は人材確保に苦労するようになり、給与水準が上昇します。給与上昇が進めば、そのコスト分を価格に転嫁せざるを得ず、価格優位性が失われます。中国が「世界の工場」足り得たのは、ひとえに潤沢な労働人口のおかげだったのです。

 

もうひとつ重要な観点として、人口減少期は人口増加期に比べ、国民の可処分所得が小さくなりがちです。先ほど人口減少により給与水準が上がると書いたばかりですから、不思議に思う方もいるかもいれません。この奇妙な現象は、人口バランスの崩れによる社会保障の負担増が原因です。人口増加期は、現役世代と引退世代の人口バランスが良いため、医療や福祉に関わるインフラ整備費を無理なく負担できます。一方、人口減少期には、少ない現役世代が多い引退世代を支えなければなりません。一人当たりの社会保障負担が大きくなり、自分で自由に使える所得が減るのです。

 

生産競争力の低下により海外との貿易にダメージを被り、国民の可処分所得低下により内需にもダメージを受ける。こうして、内外から経済が弱っていくのが人口減少期なのです。

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そして、さまざまな産業のなかでも特に人口の増減の影響を受けやすいのが不動産です。単純に、人が減れば住宅需要が減少します。さらに人々の可処分所得も減ってしまっているのですから、ますます不動産どころではありません。実際、昨年から中国不動産バブルの崩壊ぶりが度々報じられています。多くの場合は、不動産会社の強引な金策が原因として語られますが、その影には人口減の影響も多分にあったことでしょう。

 

さらに、中国の不動産に関する法律や制度は外国人投資家が手を出しにくい不透明な仕組みになっており、外国資本に頼った立て直しにも時間がかかります。この点に関しては、中国に代わり人口最大国になるインドにも同じことが言えます。まだまだ人口増加期の真っ只中で、需要拡大が見込めるインド不動産ですが、インド居住者以外は購入できません。

 

こうした状況を踏まえると、中国不動産に投資をしていた人、あるいは中国人民元建てで多くの資産を持つ人たちが、資産の持ち替えを図るうえで有望なのは、やはりアメリカ不動産です。先進国であるため、爆発的な伸びは期待できないものの、優良な仕事に惹かれて来る移住者を中心に人口が微増し続けており、安定した経済成長が見込めます。不動産取引においても、国籍の差別は全くありません。もともと、アメリカの不動産は中国人投資家からの人気が高いため、中国人資産家のポートフォリオ整理の恩恵を受ける可能性は大いにあるのではないでしょうか?

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。