受験生にとってラストチャンスとなる「後期試験」。特に、近年重視されている面接は、万全を期して挑みたいところです。面接対策について知り、親子ともども、来たる日に備えましょう。医学部受験の最新情報を配信する『集中メディカ』より、厳選した記事をお届けする本連載。今回のテーマは、「面接の受け方」。

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「人間性の重視」によって面接の配点は増加傾向

医学部受験では近年、「人間性」が重視される傾向にあります。大学の受験担当者が、「うちの大学の二次試験では、学科と面接のウェイトがひっくり返る」と公言することもあるくらいです。つまりこれから先、医学部受験の世界では、国公立・私立を問わず、「面接で落ちる」というケースがさらに増えてくると考えられます。

 

実際、各大学の配点を見ると、面接重視の傾向は明らかです。国公立の例でいうと、筑波大学(前期)では、個別試験の1400点中500点と実に3分の1以上が面接に配分されています。弘前大学(一般枠・前期)は900点中300点、信州大学(前期)では450点中150点が面接に割り当てられています(私立大学の場合、面接の評価は学科試験の配点とは別に段階評価などで行われることが多いです)。

 

だからこそ、志望校の偏差値的には問題ないはずなのに、緊張しやすく面接が苦手だったため、あえなく不合格となってしまった……という事例が散見されているのです。

 

大学側の意図は明らかで、「勉強ができても、医師に相応しい人間性を持たない人には、入学して欲しくない」と考えているのです。近年、医師や医学生の不祥事にまつわるニュースが増えていますよね。こうした問題を水際で食い止めるために、面接で学生を厳しくチェックしたいというわけです。

 

要するに、大学は「最適な人を選びたい」わけですが、面接によるこうした選抜は、学科試験の上位100位以下の受験生に対して特に厳しくなると考えてよいでしょう。上位100位以上となる得点を獲得した受験生には、上位校に合格して「蹴られる」可能性があります。一方、それより下の点数の受験生は、本気で入学を考えている確率が高いので、選ぶ側も真剣になるのです。

 

志望動機、医師になりたい理由、自己分析や、そのほか様々な質問を通して、大学側は、いわゆる「圧迫面接」を行います。「生命の尊厳をどう考えますか?」といった答えるのが難しい質問や、「こんなに浪人しているなんて、勉強する気がないんじゃないの?」といった意地悪な質問を投げかけてくるのです。

 

面接官には医学部のベテラン教授、精神科の教員、小児科の教員をはじめとした「医療のプロ」が待ち構えており、表情や仕草、声の変化など隅々まで観察されます。小手先の準備で立ち向かうのは、ほとんど無謀といってよいでしょう。

面接対策は「慣れ」と「撮影での弱点の確認」が必須

面接で勝利するために必要なのは、とにかく馴れること。そして、面接時に、人からどのように見えているのかを自分でよく知ることです。

 

実際の対策としては、面接の様子をビデオで撮影し、講師と一緒に確認して指導を受けることが効果的です。自分ではちゃんと話しているつもりでも、目が泳いでいたり、表情に動揺が表れていたり、声が小さかったりと、録画を見ればさまざまな弱点が一目瞭然です。その上で、声の張り方、顔の作り方、しぐさのコツなどを一緒に研究していくのです。

 

なかには「面接試験の15分間を完璧に演じ切れたら受験生の勝ち」という考え方もあります。「演じる」という点は、患者や家族の前で動揺を見せないためにも、医師にとって重要な資質といえますが、受験の段階では、必ずしもそこまで考える必要はないでしょう。ただ、とにかく面接が終わり、部屋を出る瞬間まで、自分をコントロールしきる練習を積んでおく必要はあります。

 

特に多浪生の場合、学科は問題ないのに面接でボロが出てしまい、浪人を繰り返している人は少なくありません。長年の受験生活で変に「擦れた」せいで、受け答えがぞんざいに聞こえたり、多浪していることに開き直っている様子が見えたりと、真面目に答えているつもりでも、悪印象を与えてしまうことがあるのです。学科の対策はよくできているのに、面接対策がおろそかなせいで落ち続けているのだとしたら、非常にもったいないことです。

 

多くの場合、言葉遣いや表情など、印象面で修正すべき点は、誰かが指摘すれば「なんだ、そんなことか!」と拍子抜けするようなポイントばかりです。ビデオ撮影を使った面接対策を行ったところ、今までの行き詰まりが嘘のように改善された例は珍しくありません。

 

撮影で弱点を把握
ビデオ撮影で弱点を把握

志望大学のアドミッション・ポリシーをよく学ぶこと

面接では、どうして医師になりたいのか、どんな医師になりたいかといった質問が、ほぼ必ず聞かれます。自分なりの答えがあるなら、それを中心に組み立てることが基本となりますが、さらに評点を挙げるためには、大学が掲げている入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)を事前によく学んでおきましょう。

 

アドミッション・ポリシーとは、大学や学部が謳う「このような学生に来て欲しい」という考え方です。当然、「医師に相応しい人材」ということでは、多くの部分で共通しています。その一方で、細かく調べると、大学ごとに細かな表現やニュアンスが異なっていることに気づいてくるでしょう。事前にホームページなどでよく確認し、面接ではその内容をベースにした受け答えができるよう準備しておくのです。

 

ちなみに、全国の大学医学部教官、医学部学生および受験生にアンケート調査した結果から、医学部に進学を希望する生徒に望まれる資質として必要度が高い項目は、次の10項目になります。つまり、多くの大学のアドミッション・ポリシーには、このような内容が含まれているといえます。

 

●不明なこと、理解できないことは納得するまで追究する(探究心)

●他人と協力しながら作業を進めることができる(協調性)

●成果をあせらず、地道な勉強を積み重ねることができる(持続力)

●奉仕的精神を持って、人間や社会に働きかける(福祉的態度)

●自分の欠点を自覚し、常に改善の努力を続ける(謙虚さ・真面目さ)

●物事を筋道立てて論理的に考察することができる(論理的思考力)

●自分の考えを他人にわかりやすく話すことができる(自己表現力)

●人の心のメカニズムについて関心がある(人間心理)

●人間性・良識を身に付けようとしている(人間性・良識)

●生物のしくみや生態について関心がある(生物への関心)

 

実際の面接対策では、講師とともに各項目をより細かく噛み砕き、それぞれに相応しいエピソードを用意しておく、といった準備が必要になります。医学部受験対策を万全にするには、このように、学科だけでなく面接対策でも手厚くサポートを受けておくことが必須といえるでしょう。

 

 

亀井 孝祥

医学部受験専門予備校メディカ 代表

 

本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。