株式や債券、為替など市場全体の値動きを表す尺度が指数(インデックス)と呼ばれ、取引所全体や特定の株価の値動きを表すものが「株価指数」です。国内株式市場の代表的な株価指数に「日経平均株価」と「TOPIX(東証株価指数)」がありますが、今回はこの二つの指数の違いや取引方法について詳しく解説します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

日経平均株価の値動きに影響を与える「値がさ株」とは

日経平均株価は、日本経済新聞社が東証1部に上場している企業から選んだ225銘柄の平均株価で、日本の株式市場を代表する株価指数の一つです。

 

日経平均株価を構成する225銘柄は、市場での流動性が低くなったものなどを定期的に見直し、毎年10月に銘柄の入れ替えを行います。定期入れ替えのない年もありますが、代わりに選ばれる企業は、より成長性のある企業だといえます。

 

それでは、日経平均株価の特徴を見ていきましょう。

 

①「値がさ株」の影響力が大きい

日経平均株価は発行済み株式数を考慮しない株価の単純平均に近い指数であるため、株価が高い「値がさ株」の動きに大きく影響されます。日経平均株価の構成銘柄上位は次のようになっています(2019年4月時点)。

 

[図表1]ウェイト上位10銘柄
[図表1]ウェイト上位10銘柄

 

値がさ株の正確な定義はありませんが、株価が数千円~数万円の銘柄のことを呼ぶのが一般的です。上位3社の4月1日時点の株価を見てみましょう。

 

ファーストリテイリング(9983)52,490円

ソフトバンク(9984)10,900円

ファナック(6954)19,335円

 

いずれも1万円を超えています。この3銘柄で17.84%のウェイトを占めているので、日経平均株価の値動きに大きな影響を与えるのです。

 

②電気・情報・通信などのITやハイテク株の比率が高い

日経平均株価のセクター別ウェイトは以下のようになります。

 

[図表2]
[図表2]

 

最もウェイトが高いセクターが技術(医薬品・電気機器・自動車・通信・機密機器)で、続いて消費(水産、食品、小売業、サービス)となっています。この2セクターで70%近くを占めています。

 

③日経平均先物が現物株に与える影響が大きい

株式市場で株価指数先物の影響が高まっています。日経平均株価、TOPIXともに先物がありますが、出来高が多く影響が大きいのは日経平均の先物です。日経平均先物は個別株よりも流動性(出来高)が高く、大口の売買がしやすいという利点があります。日本株全体に影響が及ぶような材料がでると、ヘッジファンドなど海外の投機筋や国内の投資信託会社などが、個別株よりも先物に買いを入れるのです。

 

先物には現物から求めた理論価格というものがあります。先物の買いが優勢となると、理論価格から離れて上昇します。すると、割高になった先物を売り、割安な現物株を買って利益を取ろうとする裁定業者が現れます。この買いによって、現物株も上昇するのです。個別株しか売買しない投資家も、相場全体の値動きをつかむために日経平均先物を監視している人は多くいます。特に、日経平均採用銘柄など大型株を取引きする場合は、日経平均先物の値動きを確認すると良いでしょう。

 

続いて、TOPIXについて見ていきましょう。

機関投資家が「TOPIX」を重視する理由

TOPIXは、東京証券取引所が算出・公表している株価指数で、東証1部に上場している全銘柄の時価総額を対象にしています。

 

日経平均株価の対象は225銘柄なのに対し、東証1部全銘柄(2,140銘柄)が対象なので、より株式市場全体の値動きを表しているといえます。そのため、TOPIXは投資信託や年金運用などのベンチマーク(運用の指標としている基準)として利用されています。機関投資家は、日経平均株価よりもTOPIXの方を重視しているのです。

 

それでは、TOPIXの特徴を確認しましょう。

 

①時価総額の大きい大型株の影響が大きい

TOPIXは、基準日である1968年1月4日の時価総額を100ポイントとして、現在の構成銘柄の時価総額を指数化したものです。TOPIXの値動きは、時価総額の大きな銘柄(大型株)に影響を受けます。時価総額とは、株価に発行済み株式数を掛けたものです。計算式で表すと次のようになります。

 

【時価総額=株価×発行済み株式数】

 

東証1部の時価総額上位銘柄を見てみましょう。

 

[図表3]
[図表3]

 

上記をみると、銀行や通信・不動産など内需株の影響が大きいことが分かります。日経平均株価でトップのファーストリテイリング(9983)の時価総額は82位で、構成比率はわずか0.3%となっています。

株価指数に連動することを目指して運用される投資信託

個別株は3,000銘柄以上あるので、銘柄選びが大変だと感じている人も多いのではないでしょうか? 実は、ETF(上場投資信託)を使えば、日経平均株価やTOPIXも株と同じように取引することができます。

 

ETFとは、日経平均株価やTOPIXなど特定の株価指数に連動することを目指して運用される投資信託です。それでは、代表的なETFをご紹介します(2019年3月時点)。

 

①日経225連動型上場投資信託(1321)

・終値22,030円

・売買単位1口

・運用会社野村アセットマネジメント

 

日経平均株価に連動することを目指すETFです。日経平均連動型ETFの中で最も純資産が大きく流動性も高いので、取引しやすい銘柄です。

 

②1306 TOPIX連動型上場投資信託(1306)

・終値1,661円

・売買単位10口

・運用会社野村アセットマネジメント

 

このETFだけで東証1部全銘柄に投資しているのと同じ効果があります。TOPIX連動型の中で最も売買高が多いため、取引しやすく流動性リスクが低い銘柄です。

日経平均型とTOPIX型どちらのETFを取引するべき?

日経平均型とTOPIX型の2種類のETFどちらを取引するべきでしょうか? 出来高が多く人気が高いのは、日経平均型ETFです。やはり知名度は日経平均株価の方が圧倒的に高くなります。

 

ただし、幅広く分散投資しているのはTOPIX型ETFの方です(日経平均は225銘柄、TOPIXは約2,000銘柄)。ですから、1・2銘柄の値動きに影響されにくく日経平均型よりボラティリティ(値動き)が小さくなる傾向にあると言えます。

 

まとめると以下のようになります。

 

・日経平均型ETF…知名度が高く、出来高が多いETFを取引したい場合

・TOPIX型ETF…市場全体に分散投資したい

 

今回はわが国を代表する株価指数である日経平均株価とTOPIXについて解説しました。日経平均株価は日本の経済や景気の動向を見る上で便利ですが、一部の値がさ株に影響を受けるという短所もあります。

 

一方、TOPIXは東証1部全体を対象にしていることから、より日本株全体の動向を表しているといえます。そして、ETFを利用すれば指数自体を取引することができます。

 

個別株の動向を予想するのにも株価指数は非常に役立つ指標です。また、日経平均先物による現物株への影響も年々高まっています。日経平均株価とTOPIXのそれぞれの特徴を踏まえたうえで、個別株の取引にも役立てるようにしてください。

 

 

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。