経済的に「余裕の老後」を手に入れても、なぜか心は満たされない

林さん(67歳)は大手企業の会社員でした。60歳の定年を迎えた後も同じ職場で再雇用として働き続け、65歳で完全にリタイアしました。退職金で住宅ローンを完済し、貯蓄は4,000万円。年金も夫婦で月約30万円受け取っています。2人の子どもは独立しており、経済的にはまさに安泰な状態です。

誰が見ても「余裕の老後」を手に入れたように思える林さんですが、当の本人はなぜか心が満たされません。同年代の友人や知人の暮らしぶりを見聞きするたびに、同年代の友人や知人の暮らしぶりを耳にするたびに、心がざわつき、落ち着かない気持ちになるのです。

ある日、地元の同窓会に参加した林さんは、旧友から「定年後に起業し、第二の人生を満喫している」という話を聞きました。その瞬間、「自分は会社員だけで終わった人生だった。俺はどうしてそうなれなかったのか」と、後悔と焦燥に駆られました。

また、別の知人からも「共働きで忙しい息子夫婦に代わって孫の面倒を見ている」、「リタイア後は夫婦で旅行や趣味を楽しんでいる」といった話を聞くにつれ、「みんな自分よりずっと充実している、余裕のある暮らしをしているんだな」と、嫉妬を抱いてしまうようになりました。

やがて林さんは他人への妬みが止められず、「自分の人生は失敗だったのでは」とまで思うようになっていきました。