
今回は、ベトナムで進むインフラ整備の最新事情を見ていきます。※本連載は、株式会社エスパシオコンサルタント代表取締役・有馬壽志氏の著書、『ベトナム不動産投資』(あっぷる出版社)の中から一部を抜粋し、ベトナムの不動産投資で成功するためのノウハウを紹介します。
交通網の整備が進むベトナム南北の大都市
ベトナムの首都ハノイ市では、都市高速鉄道の建設計画が進められています。そのうちの1つが、ベトナム運輸省のマスタープランに基づいた鉄道路線の建設計画で、1号線(フェーズ1)や2号線(フェーズ2)、2A号線、3号線の建設を進め、旅客や貨物の需要増加に対する対応を図ろうとしています。これらのハノイ都市鉄道は、1号線のゴックホイ車両基地、2号線のトエアン・フン・ダオ〜ナム・ソラン・ロン間の35.2㎞。2A号線のキャット・リン〜ハ・ドン間の14㎞。3号線のフン〜ハノイ間の21㎞となっています。
そして、ただ鉄道を敷設するだけでなく、この建設計画に合わせて、管理運営の方法や人材育成まで考慮に入れています。ちなみに、2013年には、東京地下鉄株式会社と日本コンサルタンツ株式会社が共同して、ハノイ都市鉄道2号線、2A号線、3号線などの「ベトナム国ハノイ市鉄道規制機関強化及び運営組織設立支援プロジェクト」を立ち上げ、これら路線の運営・維持管理組織の設立までを含めた人材育成の支援活動を行っています。
ほかに、運輸大臣からのモノレール設備を検討すべしとの指示のもと、ハノイ市人民委員会は交通運輸省と共同で、BOT(建設・運営・譲渡)方式によるモノレール路線の試験的建設計画立案に向けて検討を開始しています。
また、同市交通運輸局のグエン・クオック・フン局長によると、すでに、レドゥックト〜レクアンダオ〜チャウバンリエム〜70号線〜フックラーの各通り沿いの路線、ザップバット〜ルー川沿い〜トーリック川沿い〜新70号線〜ハドンスアンマイ〜フールオンの各通り沿い路線の2路線が検討されていると言います。
これらの路線は、将来的に、都市鉄道(メトロ)の1号、2A号、5号、6号、8号の各路線と接続することになる予定です。
ディン・ラ・タン交通運輸相も、すでにこれらの提案には同意しており、交通運輸設計コンサルタント総公社(TEDI)に対し、ハノイ市と協力するよう指示を出しています。
このように、ベトナム南北の大都市においては、都市機能を整備すべく交通網整備が進められており、人口の増加に伴って困難になる乗客の移動を便利にすべく計画がなされています。
【ベンタイン市場地下鉄ターミナル】


日常茶飯事だった断水が日本の水道技術により改善
海外での生活で、日本人が一番困るのが水道水の問題です。飲み水は購入することができるので我慢できるとしても、断水の多さには閉口します。シャワーを浴びている途中で断水にあったりすると、文字どおり怒り心頭といった心境になります。昔はベトナムでも断水が日常茶飯事でした。
しかし、ホーチミン市では、日本の協力を要請し、配水マネジメントを核とした水道改善事業を企画設立し、大阪市の水道局のノウハウを導入することで水問題のインフラ整備を図っています(PPPインフラ事業=PublicPrivatePartnershipの略)。
具体的には、2009年から、大阪市の水道局が有するノウハウを活用することによって、ホーチミン市の水道のマスタープランを提示し、供給能力の不足、高い漏水率、低水圧などの諸問題の解決策を調査・検討してきました。
その結果、これまでの調査を踏まえて、配水コントロールシステムの導入による水圧や流量の管理、そのための配水場の新設、ならびにその管理・維持運営のための支援などを官民一体となって行っています。
インフラを整備するだけでなく、また技術をもっていくだけでなく、できた施設をその後も有効活用するための運営・維持管理のノウハウも同時に教化していくことにこの事業の重要性があります。日本人の手が離れたのちも、ベトナム人自身の手で水道の管理運営ができるからです。そして、日本人への信頼にも結びつきます。これは、ベトナムでの快適生活のためにも欠かせない要因です。
このように、ベトナムは現在、インフラ整備を推し進めながら大きく発展しようとしています。今ではほとんど断水がなくなりました。