大卒の初任給、平均は約21万円
国税庁のレポート「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は508万円になる。ざっくりと計算すると、手取り額は年収で約396万円、ボーナスなしで考えると月収で約33万円ほどだ。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」によれば、新卒の初任給の平均は大卒で約21万円、手取りにすると約17万円ほどだろうか。手取りにすれば、サラリーマンは平均して初任給の2倍近く手にしていることとなるが、そこまで昇給できる恵まれた人が、どれほどいるかは疑問である。
上を見てもキリがないし、下を見てもキリがないのが「お金の世界」ではあるが、「平均」に達するまでも競争は厳しい。「平均くらいでいいや」という心の平穏(あるいは諦念)を手に入れるまでのハードルは、思いのほか高いようだ。
「身の丈にあった生活」とはいうが…
「通勤に無理のない程度に住居費のかからない地域に暮らし、節制して“身の丈にあった生活”をして、老後のためにコツコツと計画的に貯金をしようと思っていましたが、給料が上がらずカツカツです」
そう語ってくれたのは千葉市在住、メーカー勤務28歳の葛西さん(仮名)だ。
「食費や電気代などを節約するため、家事を頑張り丁寧な生活を心がけているのですが、そのために仕事のほうは必要最低限で行なっているためか、昇進・昇給がほとんどない状態です。努力に見合うほど貯金できていません。
同僚で仕事を頑張り、良い給料をもらっている人もいますが、職住近接で東京に住んでおり、付き合うも多くなるためか、貯金額でいえば私とさほど変わらないようでした。どちらも“自分なりに頑張っているのにね”という話になりました」
頑張る方向性をどちらに向けたところで、“資産は増えない”という悲しい実態があるようだ。