税務調査官からの「ご主人はいつごろから体調が悪かったのですか?」という“世間話のような質問”の真意【元税務調査官が解説】

税務調査官からの「ご主人はいつごろから体調が悪かったのですか?」という“世間話のような質問”の真意【元税務調査官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生してから1年半~2年後にかかってくる税務署からの電話。自分では「やましいことなどない」と思っていても、税務調査官への回答次第では“多額の追徴課税”が発生することも……。今回、元税務調査官の秋山清成税理士が、税務調査日のスケジュールと当日の注意点について、具体例を交えて解説します。

ついうっかり…税務調査で“言い逃れ”できないパターン

税務調査官は家の中を見て回る

次に、「家の中を見せてください」という申し出があります。その際、金庫などがありましたら、「どうぞ、どうぞ」と見せたほうが得策です。

 

税務署の調査は任意調査なので拒否することもできますが、拒否という行動自体が「中に見られたくないものが入っている」と言っているのと同じなので、調査官に疑念を持たれることになります。

 

印鑑や預金通帳を保管している場所も聞かれるでしょう。印鑑は、その印影だけではなくて、頻繁に使われているモノなのかどうかも確認されます。

 

白紙に朱肉を付けないで押し、白紙に印影が付かなければ「近年使っていない印鑑」、白紙にうっすらと朱肉が付けば「近年使ったことのある印鑑」と判断されます。

 

確認の結果、「近年使ったことのある印鑑」だったとすると、ここ数年の間に金融機関で何か手続きをした可能性があるので、「印鑑をどこで使いましたか」と聞かれます。

 

調査が終わらなければ、昼食をはさんで13時からの再開になりますが、大半は、自宅での調査は午前の間に終了します。

 

[図表2]税務調査で“言い逃れ”できないパターン
[図表2]税務調査で“言い逃れ”できないパターン

 

貸金庫のある銀行へは税務調査官が同行

調査官は、事前に亡くなった人が貸金庫を利用していたことは調査済みなので、聞き取り調査が終わった後、「貸金庫に一緒に行きましょうか」という運びになります。

 

貸金庫は開閉状況を逐次記録しているので、調査官は、銀行では最初に貸金庫の開閉状況を確認します。相続開始後に亡くなった人の貸金庫を誰かが開けていると、その人は「何が入っていたのか」と追及を受けることになります。

 

ここで、相続人の誰かが独断で貸金庫を開けている場合、他の相続人から「金目の物を懐に入れたのではないか?」と疑われることがあるので、貸金庫を開ける際は複数人で開けるようにしましょう。

 

その際には金庫を開閉した日時と金庫を開ける際の様子をカメラで記録することをお勧めします。これは後々証拠となる可能性があるからです。

 

 

秋山 清成

秋山清成税理士事務所

税理士

 

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※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

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