(※画像はイメージです/PIXTA)

3月は多くの企業が決算期を迎える月ですが、いざ決算対策をするとなると、真に有益な方法はそれほど多くはないのが実情です。しかし、公的な税制優遇制度のなかには、既に活用条件を満たしていて、あとは制度を利用するだけだった、というケースも珍しくありません。本記事では、そういった可能性のある有益な制度のひとつ、「中小企業投資促進税制」について解説します。

◆一部の「リース資産」も対象に!

注意すべきは、リース資産も、「ファイナンスリース取引」であれば対象となります。なぜなら、実質は分割購入と変わらないからです。ただし、「所有権移転外リース取引」については2種類ある税制優遇措置のうち「税額控除」しか使えません。

受けられる税制優遇措置の内容

中小企業投資促進税制における税制優遇措置は、原則として以下の2つのいずれかです。

 

【2つの税制優遇措置(どちらか一方)】

・特別償却:対象設備の購入費用等の30%を経費に算入

・税額控除:対象設備の購入費用等の7%を法人税額から控除(法人税額の20%が上限)

 

ただし、資本金3,000万円超の中小企業については「特別償却」のみが認められています。

基本的には「特別償却」がおすすめ

「特別償却」と「税額控除」のうち、基本的には「特別償却」を選ぶことをおすすめします。

 

たしかに、あくまでも計算上は「税額控除」のほうがトータルの税負担は減ることになります。

 

これに対し、「特別償却」は初年度に計上できる費用(損金)を大きくできるにとどまり、トータルの税負担は減りません。

 

しかし、設備投資を行った直後はどうしても当座の資金繰りが悪くなっています。また、今般の「コロナ禍」で多くの中小企業の業績が悪化したことにみられるように、経営にはコントロールできないリスクがつきまといます。実は、中小企業がコンスタントに利益を上げ続けることは、決して容易ではありません。

 

であれば、多くの企業にとっては、特別償却を選び、当面の税負担を抑え、当座のキャッシュをより多く温存したほうが無難といえます。

手続きは「確定申告」だけ

中小企業投資促進税制の適用を受けるための手続きは、確定申告において行います。特別償却と税額控除のそれぞれについて、以下の通りです。重複適用は認められません。

 

【特別償却の手続き】

確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する

 

【税額控除の手続き】

控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する

 

このように、中小企業投資促進税制を利用するには、事前の審査等を受ける必要はありません。もしも、要件をみたす設備投資を行っている場合は、計算に関する明細書を添付して確定申告を行えばよいということになります。

 

今から今月中に必要な設備投資を行うというのも場合によっては不可能ではありませんし、もしも年度内に既に要件をみたす設備投資を行っていたのであれば、あとは確定申告を済ませるだけです。ぜひ、積極的に活用することをおすすめします。

 

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