(※写真はイメージです/PIXTA)

松田文雄氏の著書『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』より一部を抜粋・再編集し、「叱るしつけ」について考えていきます。

「叱るしつけ」を頻繁に行うべきではないワケ

叱るしつけは、子どもが“叱られて怖かったり、不快だったりした体験”を避けようとして、親が好ましいと思う言動を行うようにする方法です。

 

「あの怖い声やあの不機嫌な顔は嫌だ!」というような不快な気持ちになるのを避けるために、好ましくない言動を控えるようにさせるということです。

 

しかし、叱るしつけには限度があります。だんだんと慣れてくるからです。ますます厳しくきつく叱らないと効果がありません。

 

思春期になって情緒的に不安定になりやすい時期に、きちんと叱ることが必要な事柄があったとき、叱られることに慣れてしまっていると平気になってしまいます。

 

思春期は親に向かっていた興味・関心が薄れ自分自身や友人関係に興味・関心が移っていく時期であり、親の言うことに対して反発したり、無視したりすることも珍しくありません。

 

叱るしつけを小さい頃から安易に頻繁に行わないことで、“叱ってでもわが子に伝えたい大切な事柄”を、その時期に強く伝えることができるのではないでしょうか。

 

また、常に叱られ、叱られすぎて育てられた子どもは、心のなかに自分を叱る親のイメージをもち、常に誰かに叱られはしないだろうかとオドオドして過ごすようにもなりかねません。

 

のちの人間関係に関しても、自分の子どもや家族、部下を叱って(あるいは怒って)怖がらせる方法によって問題解決をしようとする態度につながりやすいと思われます。

 

もし、体罰を受けて育てられると、正当な理由があると思えば身内や他人に対しても当然のことのように暴力行為を行うことになりかねません。しつけの方法から、子どもは人をコントロールするための手段を学びます。

 

できるだけ叱らないで好ましい行動を取れるようにするための方法があります。

 

たとえば、子どもが反抗的な態度で机の上にあった置物を投げようとしたとき、「何やってんの!! やめなさい!」「いけません!」「こら!」「いい加減にしなさい!」「ダメでしょ!」と禁止や制止をするという場面です。

 

そのようなとき、次にどうしたらよいかを言ってみてはどうでしょう。具体的には「手に持っている物を下に置こうね」と言ってみます。

 

もし手に持っている物を下に置くことができたら、「偉いね」とほめる言葉に変えることができます。そして、落ち着いてから、反抗的な態度を取った理由を丁寧に聞くことが大切です。

 

気持ちを行動ではなく、言葉にして伝えて「わかってもらった」という経験が、行動よりも言葉で伝えるほうがよいという経験につながります。

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『「心の育ち」と「自分らしさ」―子育てと自戒―』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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