(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後に何もしないでいれば、体も心も老化が進んでいきます。「面倒だなあ」と思う気持ちは、仕事をしなくなって時間が余るようになったからと言って、あまり変わるとは思えません。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

定年後にも時間管理が必要

■書きだすことで可能性が広がる

 

いかがでしょうか。「手帳を書く」ということでの、いくつもの可能性の広がりを感じていただけたでしょうか。

 

定年後に何もしないでいれば、体も心も老化が進んでいきます。

 

ここで、みなさんにお勧めした、手帳への日記は、手軽に始められて老化を防げる工夫としての代表例です。読書メモや映画メモでも、良いでしょう。

 

手帳に書きつけた物事から、さまざまなアウトプットを広げることもできます。

 

すでに手帳に書く習慣がある方もいれば、そうでない方もいると思います。

 

まだ会社に勤めている方で「今は働いていて時間もないから書けそうにない。けれど、定年後にやってみたい」と思うのだとしたら、ぜひ早めに始めることをお勧めします。

 

「面倒だなあ」と思う気持ちは、仕事をしなくなって時間が余るようになったからと言って、あまり変わるとは思えません。今、面倒だなと思うことは、きっと将来も面倒です。

 

書くということは、できれば早めに習慣づけたほうがいいと思います。

 

これは後々に、だんだんと記憶力も衰えていったときに役に立ちます。

 

認知症の初期は物忘れが多くなりますが、それ以外の機能はわりとしっかりしています。しなければいけないこと、気づいたことなどを書いておけば、生活への影響を抑えることだって可能です。ですから「メモをつける習慣をつけましょうね」とアドバイスをしています。

 

けれども、もとから書く習慣がないと新しく始めることになります。新しい習慣をつくるということは難しいですし、まずやりません。年を重ねるほどに、その傾向は高まります。

 

これまで「手帳を書く」ことの力をお伝えしてきました。ですが、これはその力の一面に過ぎません。

 

手帳には、「これまでのこと」も書けますが、「これからのこと」も書けるからです。

 

日々の出来事やそこで感じた気づき、感情は、すでに起こった「これまでのこと」です。しかし、みなさんには65歳から踏み出そうとしている「これからのこと」があります。つまり、未来に起こることや、起こしたいことを決めて、実行していく必要があります。

 

端的に言えば、時間の使い方です。定年後にも時間管理が必要です。

 

そして、もうお分かりですよね。

 

時間管理こそ、手帳の真骨頂と言っても良いでしょう。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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