(写真はイメージです/PIXTA)

成年後見制度とは、判断能力が欠けてしまった人の代わりに、裁判所で選任された成年後見人が財産管理などを行う制度です。本記事では相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、成年後見人にはどのような人が選ばれるのか、制度を利用時にどんな注意点があるか、これらについて解説します。

成年後見制度を利用する際の注意点

成年後見制度については、誤解も少なくありません。これから成年後見制度を利用しようと考える際には、次の点に注意しておきましょう。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
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本人の財産を自由に使える制度ではない

成年後見制度を利用して成年後見人になったからといって、本人の財産が自由に使えるようになるわけではありません。横領や使い込みなどはもってのほかですが、たとえば次のような行為は家庭裁判所の許可が下りない可能性が高いでしょう。

 

1. 本人の所有不動産を、本人と関係のない第三者の借金の担保(抵当)に入れる行為

2. 相続税対策などを目的として、本人から子や孫などに贈与をする行為

3. 相続税対策などを目的として、本人の財産でアパート建築をする行為

 

成年後見制度は、あくまでも本人の財産を守るための制度です。たとえば、項目1のように、本人以外の利益を目的とした行為は認められません。また、項目2や3などの相続税対策も、本人の財産を毀損したり毀損する可能性があったりする行為であるため、認められないことが一般的です。

 

家庭裁判所への報告義務がある

成年後見人には、本人の収支状況や財産の状況について、定期的に家庭裁判所へ報告する義務が課されています。そのため、成年後見人になったからといって本人の財産を自由にできるわけではありません。むしろ、家庭裁判所の監視が入る分、本人の財産を移動させることへの自由度は低下するとの見方もできるでしょう。また、報告には一定の手間がかかります。

 

必ずしも希望した候補者が選任されるとは限らない

先ほども解説したように、いくら自分が成年後見人になりたいと考えても、必ずしも成年後見人に選任されるとは限りません。候補者として自分の氏名を記載したとしても、裁判所の判断により別の親族や専門家が成年後見人として選任される可能性は十分にあり得ます。

 

専門家が成年後見人に選任されたら費用がかかる

専門家が成年後見人として選任された場合には、財産の状況や職務内容に応じて報酬を支払う必要があります。また、仮に自分を候補者として申し立てたにもかかわらず、結果的に専門家が選任されたからといって、申し立てを取り下げることなどはできません。

 

一度成年後見人に選任されたら簡単にはやめられない

一度成年後見人に選任されると、その後簡単にはやめることができません。たとえば、安易に成年後見人となったものの、実際にやってみたら報告などが面倒であったからといって「やっぱり辞めます」ということはできない可能性が高いということです。

 

成年後見人を辞任するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。そして、その許可を得るためには、たとえば成年後見人自身が高齢になったり病気になったりして職務遂行が難しくなったことや、転勤で遠方へ引っ越さざるを得ない事情が生じたことなど、正当な事由が必要とされます。

まとめ

成年後見制度は、本人の財産を守るための制度です。高齢の親が訪問販売で騙されて困っているなど本人に財産管理をさせることに不安が生じた場合や、本人が相続人となる相続が発生した場合などには、成年後見制度の利用を検討しましょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所

 

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