(写真はイメージです/PIXTA)

成年後見制度とは、判断能力が欠けてしまった人の代わりに、裁判所で選任された成年後見人が財産管理などを行う制度です。本記事では相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、成年後見人にはどのような人が選ばれるのか、制度を利用時にどんな注意点があるか、これらについて解説します。

成年後見人の主な役割

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成年後見人の主な役割は、それぞれ次のとおりです。

 

主な役割

成年後見人が担う主な役割には、次のものが挙げられます。

 

■本人の生活面への配慮や見守り

成年後見人の主な職務の1つに、本人の身上保護が挙げられます。たとえば、本人の生活面への配慮や定期的な見守りなどがこれに該当します。

 

■本人の財産管理

成年後見人の主な職務のもう1つの柱は、本人の財産管理です。具体的には、本人の預貯金通帳を管理して入院費などの必要な費用を支払ったり、収支計画を立てたりすることなどがこれに該当します。本人が元々賃貸用の不動産を所有していた場合などには、この賃料入金の管理なども行います。

 

■本人に関する生活上の契約手続き

本人に関する生活上の契約手続きも、成年後見人の重要な役割の1つです。先ほど解説した生活面への配慮や見守りの結果を踏まえ、本人の状況に応じた介護・福祉サービスの利用契約を締結したり、施設入所や入院の契約を締結したりすることなどがこれに該当します。

 

■本人に関する公的手続き

必要に応じて本人に関する公的手続きを行うことも、成年後見人の役割です。たとえば、要介護認定の申請や生活保護の申請、必要に応じて戸籍謄本など公的書類を取得することなどがこれに該当します。

 

反対に、成年後見人ができないことは次のとおりです。

 

できない行為

一方、次のような行為は成年後見人の職務ではありません。これらの行為はできませんので、誤解のないよう注意してください。

 

■医療行為への同意

医療行為への同意は、成年後見人の職務範囲外です。もちろん、成年後見人が親族である場合には、成年後見人としてではなく親族として同意をすることは問題ありません。

 

■介護や送迎などの事実行為

介護や送迎、家の掃除などの事実行為は、成年後見人の職務ではありません。これらは、介護であれば介護ヘルパーなど、適切な専門家へ依頼すべき性質のものです。もちろん、必要に応じて成年後見人が介護ヘルパーとの契約などを本人に代わって締結することは可能です。

 

■婚姻や離婚、養子縁組などの身分行為

婚姻や離婚、養子縁組、離縁などの身分行為は、たとえ成年後見人であっても行うことはできません。これらは、本人のみが行うことのできる行為です。

 

■遺言

成年後見人であっても、本人に代わって遺言書を作成することなどはできません。遺言を作成することができるのは、本人のみです。なお、成年後見制度を利用している人であっても、例外的に遺言が可能な場合があります。本人が遺言書の作成を望んでいる場合には、対応できる弁護士などを探してつないであげるとよいでしょう。

 

■本人の利益とならない行為

成年後見人は、本人の利益を守る役割を担っています。そのため、たとえば本人の財産を子や孫に贈与する行為や、本人に代わって「なにも相続しない」との内容の遺産分割協議を成立させる行為など、本人の利益にならない行為をすることはできません。

 

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