(写真はイメージです/PIXTA)

成年後見制度とは、判断能力が欠けてしまった人の代わりに、裁判所で選任された成年後見人が財産管理などを行う制度です。本記事では相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、成年後見人にはどのような人が選ばれるのか、制度を利用時にどんな注意点があるか、これらについて解説します。

成年後見人に「なれない人」・「なれる人」

成年後見制度の利用にあたって、成年後見人になれる人は誰なのでしょうか? 具体的に解説していきましょう。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
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成年後見人に「なれない人」

法律上、成年後見人になるために特別な資格などは必要とされていません。次に該当する人は「欠格事由」に該当するため成年後見人になることはできませんが、これら以外の人であれば、誰でも成年後見人となることができます。

 

・未成年者

・家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人

・破産者

・被後見人に対して訴訟をした者と、その配偶者やその直系血族

・行方の知れない者

 

誰が成年後見人になるのかは「家庭裁判所」が決める

成年後見人が誰になるのか最終的に決めるのは、家庭裁判所です。成年後見制度の利用を申し立てる際に成年後見人の候補者を挙げることはできますが、必ずしもその希望が通るとは限りません。

 

また、誰を成年後見人とするのかは、諸般の事情を考慮したうえで決定されます。たとえ先ほど解説した欠格要件のどれにも該当しない人が候補者に自分の氏名を書いたとしても、選任されない可能性は十分にあることを知っておきましょう。

 

親族が選ばれることは少ない…7割のケースで専門家が選任される

厚生労働省が公表している「成年後見制度の現状」(令和4年8月版)によれば、実際に選任された成年後見人の親族と親族以外との割合は、それぞれ次のとおりです。

 

・親族(子や兄弟姉妹など):19.8%

・親族以外:80.2%

 

そして、この「親族以外」のうち、専門家(弁護士や司法書士、社会福祉士など)が選任されたのが86.5%となっており、これは全体の約69%にあたります。このことから、成年後見人に親族が選任されるケースが約2割であるのに対し、約7割という多くのケースで専門家が選任されている現状が伺えます。

 

「専門家」が成年後見人に選ばれやすいケース

次の場合では特に、親族ではなく専門家が成年後見人に選任される可能性が高くなります。

 

■親族内に適任者がいない場合

たとえば、本人が一人暮らしであり、親族はすべて離れた地域で暮らしているケースなど、親族内に適任者がいない場合には、成年後見人として専門家が選任されることとなるでしょう。

 

■親族間で意見の対立がある場合

成年後見人の適任者などについて親族間で争いがある場合には、専門家が成年後見人に選任される可能性が高いでしょう。この場合、仮に親族を成年後見人に選任すると、財産の管理方法などをめぐってさらなる対立に発展するおそれがあるためです。

 

■本人の財産が多額である場合

成年後見人が管理すべき本人の財産が多額である場合や、複数棟の不動産経営をしているなど財産管理の難易度が比較的高い場合などには、成年後見人として専門家が選任される可能性が高いでしょう。

 

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