私立医学部受験「偏差値50台が合格」「偏差値70以上でも不合格」が多発する“特殊事情”

私立医学部受験「偏差値50台が合格」「偏差値70以上でも不合格」が多発する“特殊事情”
(※写真はイメージです/PIXTA)

模試では偏差値70以上だった受験生が不合格になり、片や、ずっと偏差値50台だったのに合格になる受験生もいる…このような医学部受験の「番狂わせ」は、なぜ起こるのでしょうか? 医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏が解説します。

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    私立医学部「偏差値70」で受かる人、落ちる人の差

    たとえば大手予備校の夏の記述模試で、4教科とも偏差値75を獲得したとします。「これなら問題ないや」と考え、私立対策をひとまず先送りにし、1月中旬の「共通テスト」対策を重点的に行ったらどうなるでしょうか。

     

    共通テストの数学は数Ⅲもなく、英語も難解な医療記事を読むわけではありません。11月、12月の直前期に共通テスト対策として、基礎的な内容をまんべんなく短時間で解く練習ばかりする勉強に時間をかけすぎると、共通テストの数日後から怒涛のごとく始まる私立医学部の本番で、クセのある問題に対応しきれなくなる可能性があります。

     

    いわゆる「共通テストボケ」です。私立医学部は「本学を第一志望とする人」に来てほしいわけですから、共通テストボケが起きている直後に、ややクセのある難し目の試験を行えば、合格しても入学するかどうかわからない国公立第一志望の人の一定数をふるいにかけることができます。

     

    ただ私立医学部は学科試験のあと、合格者に面接試験を課していますので、共通テストが終わって直後に日程を組まないと、その後の審査に影響がでるというのも理由の一つにあるとは思いますが。

     

    反対に、3〜4週間以上あとに試験を行う大学もあります。併願をしても構わないが、それでも自分の大学を選んでくれた人に入学してほしいということでしょうか。入試日程を眺めると、そこから大学のメッセージが読み取れます。

     

    共通テストのための勉強も大切ではありますが、様々な大学の思惑に巻き込まれないためにも、志望校への対策には早め早めに取りかかっておくべきです。

    判定に囚われず、しっかり私立対策することが大切

    不安を煽るようなことばかりをいいましたが、裏を返せば、私立の問題の対策をしっかりと行っているのなら、大手予備校の実施する「模試の判定や偏差値」は、そこまで悲観材料ではないということです。特に私立を専願にする人は、秋から傾向と対策を徹底的に立てて学習することで、本番で一発逆転できるチャンスが多くなります。

     

    模試で悪い結果が出ると、どうしても受験生も親御さんも振り回されがちですが、必要以上に悲観する必要はありません。

     

    対応さえできているなら、あとは「記述式が得意か、マークシート方式が得意か」、これは議論のあるところですが「浪人年数」「男女の合格割合」での入学差別は本当に大丈夫か、地方大学の医学部であれば「学科は通っても、補欠になった場合に繰上げる可能性はどうか」など、さまざまな状況を分析し、出願校を選んで、徹底的に対策をとるだけです。

     

    たとえ大手予備校の模試の判定を見て、焦って志望校のランクを下げたとしても、問題を作成する先生の人数が限られることの多い私立大学医学部では、大学ごとの問題のクセを知らなければ、結果にはつながりません。

     

    受験生や保護者は、大手の「模試の結果」だけに囚われてはいけない、と今一度心に留めておきましょう。

     

     

     

    亀井 孝祥

    医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師

     

    愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

     

    本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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