「お前の家族は寄生虫」47歳妻、名家の2世夫になじられ…挙句、義理母・姉からも追討ちの暴言。それでも「離婚を選択しなかった」“意外な理由”【弁護士が解説】

「お前の家族は寄生虫」47歳妻、名家の2世夫になじられ…挙句、義理母・姉からも追討ちの暴言。それでも「離婚を選択しなかった」“意外な理由”【弁護士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

コロナウイルスによるオンラインワークなどによって、普段仕事に行っていた夫と家にいる機会が増えたことで、離婚の件数は増加傾向にあります。そんな中増えているのが「モラハラ夫」。「モラハラで離婚はできない」なんて言われることもありますが、しっかりと準備をすれば離婚をすることはできます。実例を交え、離婚問題に詳しい弁護士の堀井亜生氏が著書『モラハラ夫と食洗機』(小学館)で解説。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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夫や義理の両親に冷たくされ、父親の不倫まで目の当たりにした長女は、不登校気味に。

 

一方、夫とその両親に甘やかされた長男は、自分勝手な振る舞いが目立ち始め、学校でたびたびトラブルを起こします。学校から呼び出されて、長男が同級生に「お前なんて俺の寄生虫だ」と怒鳴ったと聞いて、子どもたちの将来はどうなるのだろうと焦りを感じました。

 

E美さんから相談を受けた時、「地方在住なのになぜ東京の弁護士に?」と聞きました。「地元の弁護士は夫の家とつながりがあるので怖いです。東京の弁護士ならと思ったんです」という返答に、E美さんが地域社会のなかで一人追い詰められてきたことがうかがえました。

ゴールは離婚ではなく別居

苦労して育ったE美さんは、地方の名家に生まれた夫を、頼もしく思って結婚しました。しかし夫の知り合いから、お酒でトラブルを起こしては親がお金で解決してきたと聞いて、夫の金払いの良さは「金を払えばいいだろう」という考えから来ているのだとわかりました

 

E美さんは、とにかく子どもを連れて夫から離れたいと望んでいました。しかし、夫がE美さんたちの別居を手放しで許すとは思えません。

 

そこで、夫の今までの言動を元にE美さんと作戦を練りました。夫は不倫や暴言はひどいものの、子どもたちの教育費用は惜しまず出しています。また、夫は長男を跡取りにと考えているので、離婚を切り出すと、長男の親権を主張してこじれる可能性があります。

 

E美さんにも、子どもと父親の関係を断ちたいという気持ちはありませんでした。

 

そのため、離婚を切り出さずに、子どものために別居したいこと、今後も子どもとは自由に会ってもらいたいことを告げました。夫は最初反発しましたが、子どもの精神状態が不安定なことは知っていたので、最終的には別居先の家賃と生活費を負担すると言ってくれました。

 

義母は別居なんて恥ずかしいと反対しましたが、子どもは自由に行き来させますと言うと、意外とすんなり受け入れてもらえました。

 

こうしてE美さんと子どもは家を出ました。夫の体裁もあるので、転校しないで済む程度の距離に部屋を借りて、夫と子どもは交流を続けています。E美さんも子どもも、少しずつ落ち着きを取り戻しています。子どもが成人したら離婚することも考えて、E美さんは仕事を探し始めました。

 

モラハラ夫と離婚する場合、切り出し方しだいでその後の展開は変わってきます。そもそもモラハラをするような人は、それを指摘されると反発したくなるので、証拠を突きつけるだけでは、怒って生活費を止められたり、言った言わないという水かけ論になったりします。

 

もちろん、しっかりとモラハラを指摘して戦うべき時もありますが、相手の性格や依頼者の希望によっては、夫を納得させて円満に別居したほうがよいケースもあります。対立することよりも、うまく距離を取ることを優先して、家族が落ち着いたという事例でした。

 

〈まとめ〉
「円満別居」も、モラハラ夫との賢い距離の取り方の一つです。

※本連載は、堀井亜生氏の著書『モラハラ夫と食洗機』(小学館)より一部を抜粋し、再編集したものです。

モラハラ夫と食洗機

モラハラ夫と食洗機

堀井 亜生

小学館

2000件を超える離婚・恋愛トラブルを扱ってきた弁護士、堀井 亜生氏が、実際に見聞きしたモラハラの実態を紹介し、それらを分析して、「正しい別れ方」と、別れた後に「過去に決着をつける方法」を解説します。 家族のあり方…

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